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ゲゲゲの鬼太郎第6期・第76話『ぬらりひょんの野望』 感想

 ついに始まりました。ぬらりひょん編。
 これが最終章になる――という憂いはあるものの、まずは新たな展開を歓迎したいと思います。

 さて、ぬらりひょんと言えば、歴代アニメ版鬼太郎において、悪妖怪の親玉として名を馳せてきました。
 今期もその伝統に則り、ついに最終章で姿を現したわけですが――。
 ここでまずは、歴代のぬらりひょんを振り返ってみましょう。

 始めは原作から。まず少年マガジン版にて「妖怪ぬらりひょん」というエピソードで、蛇骨婆とともに登場します。
 人間社会に紛れて暮らしながら、爆発事件などの悪事を起こして楽しんでいた、悪質な妖怪でした。しかしここではあくまで一話きりのゲストキャラであり、それ以上でも以下でもありません。
 続いては、異色作「野球狂の巻」。ここでぬらりひょんは、妖怪達が集う墓の下高校の校長という役回りで登場します。
 人間社会を乗っ取るという悪事を密かに目論んでいたため、一応はボスキャラと言えるのかもしれません。……作品自体はコメディでしたけどね。
 続いて――正史ではありませんが、コミックボンボンで連載された、水木プロ版ゲゲゲの鬼太郎。いわゆる「最新版ゲゲゲの鬼太郎」にもぬらりひょんが登場します。こちらはアニメ第三期との連動企画ということもあり、ぬらりひょんは押しも押されもせぬ大ボスという扱いでした。
 そして再び正史に戻り、「国盗り物語」シリーズ。ここでのぬらりひょんは、アニメ版を意識してか、日本妖怪の親玉という役回りで登場し、鬼太郎と共闘しました。また同シリーズ内では、ついに朱の盆も(ぬらりひょんとはまったく関係ない役回りで)原作への登場を果たしています。

 で、続いてアニメ版ですね。
 まずは第一期。原作エピソード「妖怪ぬらりひょん」の映像化に伴い、蛇骨婆ともども登場しました。
 もっとも当時は内容が原作準拠ということもあり、ぬらりひょんはあくまで一話きりのゲスト扱い。悪の親玉として君臨することはありませんでした。
 また、子分の朱の盆も原作には登場しないため、第一期では存在しません。

 続いて第三期……と行きたいところですが、実はその前に重要な映像作品があります。
 それは何かと言うと、月曜ドラマランドの実写版ゲゲゲの鬼太郎ですね。ぬらりひょんが悪の親玉として鬼太郎作品に登場したのは、これが初となります。
 さらに後続のオリジナルビデオ作品「妖怪奇伝ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム」は、第三期放映中の販売ということもあり、ぬらりひょんと同時に朱の盆も登場しました。
 ちなみに蛇骨婆は一切登場しませんでした。

 で、第三期。アニメ版でついにぬらりひょんがボスの座を得たのが、このシーズンです。
 子分は朱の盆。こちらは前述のとおり原作には未登場のキャラだったため、妖怪図鑑からの起用と思われます。
 一方原作で登場していた蛇骨婆は、ぬらりひょんが初登場した第四話で共演して以降、地獄編まで出番なし。その地獄編でも、どちらかと言えば第四話とは関係ないパラレル的な存在として描写されていたため、ぬらりひょんとの共演は最初の一度きりで終わったと言っていいでしょう(厳密には劇場版にも登場していますが、そちらは原作「朧車」に準拠した起用であり、「妖怪ぬらりひょん」に登場した蛇骨婆とは別物でした)。
 ……ともあれこの第三期で、ぬらりひょんは鬼太郎の宿敵、悪妖怪の総大将として大きく認知されました。
 一方で強烈な印象を残したのが、やはり朱の盆でしょう。当初はぬらりひょんの子分という立ち位置でしかなかった彼が、最終的に選んだその結末は、最終回を見た視聴者の心に深く刻まれたものと思います。

 で、続いて第四期。ぬらりひょんは再び朱の盆を引き連れて、鬼太郎の宿敵として姿を現しました。
 もっとも第三期に比べると、「総大将」という要素はほぼありません。あくまで、時々事件に絡んでくる悪党止まりですね。
 そのぬらりひょんですが、実はその結末と呼べるエピソードが三つ存在します。一つ目は「妖怪ぬらりひょん」を原作とした「ぬらりひょんと蛇骨婆」。ここでぬらりひょんは朱の盆ともども、鬼太郎によって地の底に封印されてしまいます(個人的には第四期屈指のお気に入りエピソードなので、ぬらりひょんはこれ以上出なくてもよかった……と思っています)。しかしその後、シレッと復活しました(笑)。
 二つ目は、「妖怪王ぬらりひょん」編。西洋妖怪すら配下に置き、文字どおり大ボスとして生まれ変わったぬらりひょんは、鬼太郎達と死闘を繰り広げ、ついにとどめを刺されました。製作スタッフによれば、これがぬらりひょんの最期になるはずだったのですが……後のエピソードで脚本を執筆することになった京極さんが、ぬらりひょん死亡の件を知らされずに彼を作中に登場させたため、またまた復活してしまうことに。
 で、その行く末が三つ目の結末。「鬼太郎対3匹の刺客!」です。紆余曲折の末、誰からも相手にされなくなったぬらりひょんと朱の盆は、相変わらず鬼太郎を狙っては、間抜けな敗北を味わうのでした――という終わり方。ある意味第四期らしい、牧歌的な(?)決着になったなぁ、と思います。
 ちなみに四期の朱の盆は、三期と違ってどこまでも従順で、どこまでも間抜け。なかなか愛すべきキャラでした。

 お次は第五期。ここで登場したぬらりひょんは、キャストに第三期と同じ青野武さんを起用し、再び日本悪党妖怪のボスとして君臨することになりました。
 子分は朱の盆に加えて、蛇骨婆がついにレギュラー化。さらに旧鼠、蟹坊主、かまいたち――。果ては妖怪城すら支配下に置き、着々と力を蓄えていきます。
 バックベアード率いる西洋妖怪軍団や、チー率いる中国妖怪ともライバル関係を築くなど、なかなかワクワクする展開でした……が、あいにくシリーズそのものが打ち切られてしまったため、その結末を見届けることは叶いませんでした。

 また、この第五期と並行して封切りされた実写映画版。その第二作目「千年呪い歌」で、ぬらりひょんは事件の黒幕として、蛇骨婆ともども登場しました。
 演じられたのは緒形拳さんでした。

 この他、ゲームなどでもぬらりひょんがボスキャラとして登場したケースはありますが、割愛。
 ちなみに、どうしてぬらりひょんが様々な作品で妖怪のボスとして扱われているのかというと、水木先生の妖怪図鑑の解説文に、「妖怪の総大将」と書かれているからなんですね。ただしこの解説は、藤澤衛彦の『妖怪画談全集・日本編 上』においてぬらりひょんのページに添えられた「物怪の親玉」という一節が元ネタになっています。
 で、その藤澤氏の文章が、おそらく鳥山石燕の絵から連想したイメージのみで書かれているため、実際には「ぬらりひょんが妖怪の親玉である」という伝承は存在しないだろう――というのが定説です。
 そもそもぬらりひょんがどんな妖怪なのかというのは、はっきりしません。江戸時代の妖怪画で頻繁に見られるものの、ほぼそれだけ。「人の家に上がり込む」という特徴も、上記の『妖怪画談全集』を参考にした水木先生の本を経て広まった後付けのものですし、結局のところぬらりひょんの実態というのは謎に包まれたままだったりします(ただし同名の海坊主の伝承が西日本にあります。よく知られた後頭部のでかい老爺姿のぬらりひょんとの関係は不明ですが)。

 とまあ、そんなぬらりひょんの長い薀蓄を経た上で――。


 今回の第六期版ぬらりひょん。政治家に干渉して土転びの森を開発させ、人間と妖怪との間に軋轢を生む。さらにその開発を自ら中止させることで、土転びを味方につける――という、知略に長けたうごめき方を披露しました。
 原作同様の爆発ネタも入れつつ、この黒幕感が嬉しいですね。
 ちなみにその目的は、妖怪の復権。おそらく今後ぬらりひょんは、妖怪と人間との間に争いを次々と生み、その中で妖怪達を味方につけ、勢力を拡大していくのでは――と推察できます。
 第六期のテーマが「異なる者同士の相互理解」であり、これまでまな、名無し、アニエス、石動といった面々を通してそれが描かれてきたところから察するに、ぬらりひょんはこの相互理解を脅かす存在として、最終章に暗躍するのでしょう。
 なおキャラクターデザインについては、妖怪画のバージョンにかなり寄せてきていますね。おかげで見た目がくどい(笑)。まあそれはともかく。

 一方朱の盆については、今のところ、ぬらりひょんの子分といういつもどおりのポジションですね。
 ただ、公式サイトによれば戦闘能力は高いとのこと。もしも今までにない武闘派の朱の盆になったら、それはそれで面白いかもしれません。今後に期待したいところです。

 ……と、ずっとぬらりひょんについて語ってきましたが、一応今回の原作は「妖怪ぬらりひょん」ではなく「土転び」。
 なので、そちらの方にもきちんと触れておきましょう。

 「土転び」は、80年代マガジン版のエピソード。過去に何度もアニメ化された60年代マガジン版「土ころび」とはまったく別の作品です。したがって「石妖」や「麻桶毛」同様、映像化は今回が初となります。
 そもそも土転びのデザインが、60年代版とは違いますからね。ゾウの鼻みたいなのは付いていません。
 で、そんな80年代版の土転びは、人間の森林開発に怒って暴れ、鬼太郎にこらしめられ和解するという役回りでした。今回のアニメ版でもその部分は踏襲され、戦闘シーンなども概ね原作をなぞる形で展開。もっともそこにぬらりひょんが介入したため、ストーリーの結末は大きく変わることになりました。
 もしかしたら今後、土転びがぬらりひょんの仲間として再登場することもあるかもしれませんね。

 そしてラストは、鬼太郎とぬらりひょんの、わずかな邂逅――。これからの戦いを予感させる幕引きとなりました。
 果たしてこれからどうなっていくのか。名無し編以来の不穏さが漂っていますが、最後まで見守りたいと思います。


 さて次回は、「猫仙人」!
 原作初期の定番エピソードは、やはり楽しみです。そういえば「夜叉」とかまだやってないんだよなぁ。
 ではまた!

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ゲゲゲの鬼太郎第6期・第75話『九尾の狐』 感想

 今回は地獄の四将編、そのクライマックス!
 ……なのですが、むしろそれよりもでかいニュースが入ってしまいましたね。
 何と次回から、「最終章ぬらりひょん編」!

 最終章!
 最終章……!
 そうか……。

 映像ソフトの販売予定から察するに、残り2クール、ということでしょうね。
 二年間――と言えば、実は過去のシーズンもほぼそんな感じだったわけですが、今期のようにいざこうやって毎週感想を書いていると、二年分のエピソードって案外少ないんだなぁ、と感じてしまいます。
 五期のような打ち切りエンドでない分、まだまともな決着が望めるとは言え……。うーむ、残念。

 その一方で、わくわくできそうな話題もありました。
 ゲゲゲ忌での上映会です。今年もやってくれるんですね。しかも「悪魔くん」まで!
 うーん、行きたい。でも行ける回数は限られているし、できれば上映内容も早く知りたい。


 というダブルニュースに追いやられて、個人的にはちょっと陰に行ってしまった「九尾の狐」なのですが(笑)。
 いやぁ、詰まってましたね。ちょっと詰まりすぎて、VS玉藻前の戦いがあっさり終わってしまった感もなくはないのですが。
 アニエスとアデルの本格的な再登場。伊吹丸と石動の融合。ねずみ男の雄姿。いろいろ見所がありました。

 一方で、鬼太郎がみんなの魂の力を得て九尾の狐を倒すところなどは、燃えるポイントではあるのですが……。
 石動戦の時点からそれをやってしまっているので、最後の最後で「ここぞ!」という感じがしなかったのが、ちょっと残念でした。
 派手で見応えはあったんですけどね。

 そして石動との決着。
 いわゆる和解ではなく、本気で戦った果ての決着。鬼太郎にしてみれば、仲間を殺されたのだから、当然と言えば当然でしょう。
 ただし石動は、自分のおこないを肯定している一方、心のどこかで否定してもいる。「人間と妖怪は敵同士である」という自身の結論を覆すことに葛藤を抱いている。彼はこれから伊吹丸とともに、その葛藤を乗り越えていくのだと思います。
 それは、鬼太郎が「妖怪城」のエピソードで、まなと友達になる形で乗り越えようとしたものと同質――なのかもしれません。

 ともあれ、地獄の四将編。
 半年ということで、意外と駆け足気味になりましたが、伝説上の名だたる妖怪達(黒坊主さんはともかく)が次々と登場するワクワク感は、やはり良かったです。
 石動は……まあ、中二病的なアレですわな(笑)。
 なんか第三期の地獄童子さんを思い出しました。良くも悪くもと言った感じですが。


 さて――次回から最終章ですね。
 とりあえず一発目のエピソードは、新編版の方の「土転び」になる模様。
 楽しみに待ちたい……と言いたいものの、やはり最終章という単語に複雑な気持ちを抱きつつ。
 ではまた!

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ゲゲゲの鬼太郎第6期・第74話『地獄崩壊!?玉藻前の罠』 感想

 何このメガネ秘書かわいい。

 今回はオリジナルストーリーの前編。
 玉藻前=九尾の狐は、言わずと知れた超メジャー妖怪ですね。鬼太郎作品では、やはり何と言っても「妖怪反物」で有名……なのですが、この「妖怪反物」に登場する九尾の狐・チーは、玉藻前の弟という設定。かつて日本で倒され殺生石と化した姉の復讐を果たすべく、中国妖怪を引き連れて日本に襲来した強敵でした。
 この他、原作では「太古の秘密」というエピソードにも、九尾の狐が登場します。こちらは弟ではなく姉そのもの。ちなみに、割とアダルティな内容です。

 そんな九尾の狐ですが、「妖怪反物」と関係のないエピソードで、しかも玉藻前本人がアニメに登場するのは、何と今回が初。大逆の四将、その最後の一人としての強敵ぶりを、すでにいかんなく発揮してくれています。
 しかも原典に忠実に、国家のリーダーを惑わして世に動乱を引き起こすという、狡猾な面が強調されています。作中での日本国総理は女性ですが、代わりの他国の首脳陣を色香で操って、日本を孤立させた上で戦争を仕掛けるという邪悪っぷりでした。

 その敵対国である「A公国」は、具体的なモデルがイメージできないように、曖昧な形で描写されていましたね。B国は間違いなくアメリカなんですが。……米国だけに。
 しかし「そんなに予算があるなら自分でやれ」は酷いですね。現状、日本の防衛費が不足してるってのは有名な話なんですけどね。
 ともあれ、今の国際化社会において、他国との連携は国防の要。玉藻前が謀ったのは、その連携を削いで日本を丸裸にしてしまう――という、極めてリアルな作戦でした。
 一方リアルでないのは、A公国の戦略ですね。今時の戦争は、まずサイバー面から攻撃を仕掛けて、相手の反撃を封じてしまうのが基本だそうです。まあ、本気で侵略するつもりなら……ですが。

 さて、この戦争騒ぎにどう決着をつけるのか。
 また、閻魔大王すら敗北に追い込んだ九尾の狐を、鬼太郎達はどう攻略するのか。
 そして、妖怪の魂を取り込みすぎて肉体の限界に達しつつある石動の運命は……ってか、この人やっぱり地獄先生向きのキャラだわ(笑)。
 どれも次回のお楽しみ。

 ってことで、今回は前編のみなのでここまで。
 ではまた!

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ゲゲゲの鬼太郎第6期・第73話『欲望のヤマタノオロチ』 感想

 今回の原作は「やまたのおろち」。鬼太郎シリーズではない読み切り短編作品です。
 これで六期では「霊形手術」「蒸発」「カモイ伝」「足跡の怪」にこの「やまたのおろち」と、計5本のノン鬼太郎シリーズが映像化されたことになります。今後もやっていただけると、一水木ファンとしては嬉しい限りです。

 ちなみに原作版「やまたのおろち」はどんな話かというと――。
 好奇心旺盛な少年が地元の老人の忠告を聞かずに、呼子を探して深山に入り、そこで本当に呼子に遭遇。ダイヤの中の世界に吸い込まれ、そこでやまたのおろちに襲われてしまうというもの。
 少年はダイヤの外にいる呼子に、ここから出してくれと懇願し、「ある条件」をもとにそれを叶えてもらいます。
 その条件とは――今回のアニメ版をご覧になっていれば、きっと想像はつくことでしょう。
 主人公の年齢や性格、そしてオロチの行動などは大きな改変を受けた今回のアニメ版ですが、そのラストは、原作を忠実に踏襲したものになっていた、というわけですね。

 なお「やまたのおろち」が第二期で映像化された際は、主人公の少年の役回りをねずみ男が担当。原作のオチまでをこなした後、鬼太郎を誘い出し、新たな身代わりにしようとする――という展開で、むしろここからが本番といった感じになっていました。
 鬼太郎と猫娘はダイヤの中に閉じ込められ、やまたのおろちと戦うことになります。要は、純粋なバトルエピソードになっていたわけです。
 一方第三期では、原作のオチは使用されず、ダイヤに閉じ込められた少年がオロチの生け贄にされるのを、鬼太郎が助けに行く――という流れでした。
 また、ヤマタノオロチのエピソードは第四期にも存在しますが、こちらは原作要素は一切なく、ぬらりひょんの陰謀によって出現したヤマタノオロチを鬼太郎が倒すというもの。なので、水木短編版の「やまたのおろち」がきちんと映像化されたのは、第三期以来と言っていいかもしれません。

 いずれにしても、原作や過去のアニメ版では、おろちは巨大な怪物以外の何物でもありませんでした。
 一方で今回のアニメ版は、ヤマタノオロチを、意思疎通が可能な(ただし非常に邪悪で狡猾な)超越的存在として描写。この点は画期的だったと思います。
 おそらくは「ダイヤ」という原作要素から、「欲望」「願いを叶える」というキーワードへの連想で、このような形になったのでしょう。
 今回のストーリー自体は、言ってしまえば古典怪奇小説「猿の手」がコンセプトベースになっているため、オロチをストーリーに生かす上で、人間の願いを叶える「神」の如き存在に仕立てる必要があったものと思われます。
 ……なお、オロチの声は柴田秀勝さん。アニメ版鬼太郎では常連ですが、やはり柴田さんと言えば先代ベアード様(三期でも演じていらっしゃいましたが)ですね。今回も実に貫禄たっぷりでした。

 ちなみに、原作・旧作版おろちと今回のオロチの違いとしてもう一つ挙げられるのは、神話上の八岐大蛇との関連性です。
 原作・旧作版では、神話上の八岐大蛇は、実際に存在していたダイヤの中のおろちがモデルになっていたのだ――という真相が、作中で示唆されています。
 一方、今回のヤマタノオロチは、神話上の八岐大蛇とは別物であるかのように語られていました。とは言え、ダイヤのオロチと神話のオロチ、両者の関係性は明確ではなく、実際のところどうなのかは不明のままです。

 ついでに呼子についても触れておきましょう。
 呼子というキャラクターは、そもそも鬼太郎シリーズでは、鬼太郎の仲間の一人です。特に昭和マガジン版後期では、鬼太郎ファミリーの一員という位置づけにまでなっていたのは、間違いありません。
 なお、名前は登場回によって「山びこ」だったり「山こぞう」だったりします。もっとも平成期ぐらいから後は、原作・アニメ版とも「呼子」で統一されることが多くなりました。
 ところが原作「やまたのおろち」では、呼子は少年を陥れるという役回りを演じています。これをアニメ版でそのまま使ってしまうと、「鬼太郎の仲間の呼子」と「やまたのおろちのダイヤを持つ狡猾な呼子」が両立するという矛盾が発生します。
 この矛盾点を解消するために、アニメ版では様々な工夫が為されてきました。

 まず第二期では……特に工夫はありませんでした(笑)。
 続いて、サブキャラクターの設定が厳密になった第三期では、呼子ならぬ「ニセ呼子」というオリジナルキャラクターが登場。これがダイヤを持っているという役回りでした。
 彼によって少年誘拐の濡れ衣を着せられた呼子は、鬼太郎に同行してニセ呼子と対決。さらにニセ呼子が、おろちに捕まって無理やり従わされている存在だと知ると、彼とともに協力して、おろちに立ち向かう鬼太郎をサポートします。
 まさに呼子が主役の貴重なエピソードだった――と言えるでしょう。

 で、今回の第六期ですが――。
 呼子は呼子でも、いわゆる「別個体」というやつでした(笑)。
 偽物ではなく、あくまで呼子は呼子。ただしクセの強いやつだ――というわけですね。
 ゲゲゲの森の呼子の方は、チラリと顔を見せる程度で、大きく話に絡むことはありませんでした。
 この辺は、あくまで原作「やまたのおろち」の結末を重視した結果であると言えそうです。

 ……と、そんな長い薀蓄を経た上での(笑)今回の感想。
 うん、先にも書きましたが、要するに「猿の手」なんですね。
 何でも願いを叶えてくれるアイテムがあって、ただしその方法は極めて悪質である――という。
 もともと原作の「やまたのおろち」はそういうストーリーではありませんでしたが、余談ながら、水木先生の作品には、やはり「猿の手」をベースにしたものがあります。貸本版「墓場鬼太郎」シリーズより、「ないしょの話」がそれですね。
 「ないしょの話」は、後にお馴染み「大海獣」にリライトされるエピソード。その貸本版独自の要素として、目玉親父が「猿の手」の如く、ある老人の願いを叶える(実際は目玉親父は何もしておらず、偶然叶ったようになっていただけ)という展開がありました。
 また「ないしょの話」以外にも、こちらははっきりと「猿の手」を原作とした、「魔石」という短編も存在しています。

 で、この猿の手の役目をヤマタノオロチのダイヤに担わせた――というのが、今回のアニメ版です。
 猿の手が叶えてくれる願いは三つだけでしたが、オロチは首の数、即ち八つまで叶えることが可能。ただしそのたびに、ダイヤの持ち主は不幸になっていくというおまけつき。しかもオロチに意思があって、いちいち願いを催促してくるので、実に厄介です。
 主人公を少年からサラリーマンへと変え、彼の身勝手な願いが次々と不幸をもたらし、原作同様の怪奇な結末へと向かう――。その過程こそが、鬼太郎がどう話に絡んでくるかも含めて、今回の大きな見所だったと言えるでしょう。

 サラリーマン斉藤の六つ目の願い、「オロチを殺せるやつを連れてくる」によって鬼太郎が堂々と登場するシーンのカッコよさ。しかし斉藤は、よりによって七つ目の願いでその鬼太郎を抹殺してしまい、追い詰められてついに最後の願いに辿り着きます。
 結局すべては呼子の策略だった――というのは原作どおり。まあ、この結末に行き着くのに、だいぶ回りくどい気はしましたが(笑)、要は八つも願いを叶えてもらえる(そして不幸に見舞われる)機会があれば、いずれここに辿り着くということでしょう。
 「猿の手」自体は、ホラー好きならば慣れた展開ではあるものの、この「猿の手」と「やまたのおろち」のミックスは、なかなか面白かったです。

 ただ、気になったところも一応あって。
 それは何かと言うと、もちろん「鬼太郎の死」ですね。
 死んだはずの鬼太郎が生きていた――というのは、まあ、鬼太郎だからで済むのですが(笑)。
 しかし落雷後に鬼太郎がチャンチャンコを残して消滅し、斉藤がオロチに「騙したな!」と叫んだのは、ちょっとよく分かりませんでした。
 いや、オロチが893の幻を斉藤に見せていた件で「騙したな!」だけなら分かるんです。でも、鬼太郎はそこにどう絡むのか。
 一つ解釈するとすれば、あの鬼太郎自体が、893と同様にただの幻だった――という線ですが。
 しかし、チャンチャンコがしっかり残ったこと。さらにラストでの鬼太郎親子の会話から察するに、完全に幻だったというわけではなさそうです。むしろ、「鬼太郎の死」がピンポイントで幻だった――ということになるのでしょうか。
 この辺は、ちょっと詳細が不明瞭だったため、気になりました。
 ……あと気になったと言えば、自爆して復活できるダイヤが、なぜ指鉄砲には殺られるのか(笑)。まあ、これもオロチの「騙し」だったってことかしら。
 ついでに言うと、小型飛行機のビル激突が、ちょっとあっさり描写されすぎてて分かりにくかったです。

 とまあ、そんなツッコミはあったものの、面白いエピソードでした。
 むしろ「猿の手」展開にハズレなし、と言ったところでしょうか。


 さて次回は――いよいよ玉藻前登場!
 四将編は半年で切り上げるのか、まだまだ先が続くのか。
 いや、そもそも四将を逃亡させた黒幕がいるはずなので、もう一仕掛けあっておかしくないのですが、果たして。
 ともあれ、楽しみにしています。ではまた!

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ゲゲゲの鬼太郎第6期・第72話『妖怪いやみの色ボケ大作戦』 感想

 キマシタワー

 今回の原作は「いやみ」。サンデー版のエピソードの一つですね。
 いやみの力によって色ボケになった鬼太郎とねずみ男が、拉致してきたJSを巡ってバトルする――という、たぶんご時世的に原作そのままじゃ放送できない気がするお話です。
 ちなみに第三期では、当然JSポジションはユメコちゃんでした。
 なので今期はまなちゃんか……と思いきや、集中砲火を浴びたのはねこ姉さんの方。でもってまなちゃんもねこ姉さん狙い。キマシ

 なお原作について補足すると、いやみは上記の他に、「雪姫ちゃんとゲゲゲの鬼太郎」シリーズと「鬼太郎霊団」シリーズにも登場しています。
 特に「霊団」の方は、初出が大人向けの雑誌だったこともあって、かなりアダルトな内容。特にいやみが引きつれていた美女軍団の下品な技の数々がスバラシかったです。詳細は、下品なのでここでは書けません。男根砲とかな!

 でまあ、改めてアニメの感想なのですが――。
 いやぁ、楽しかったです。奇を一切てらわない、ストレートな笑いが来るコメディ回でした。
 鬼太郎ファミリー男衆+まなちゃんの総色ボケ化(一反木綿だけ通常営業)という圧倒感。目玉おやじがまなちゃんの頭に乗ってふやけてるのもアレでしたが、それよりぬりかべ。何でめっちゃ男前になっとるん(笑)。
 でもって、ねこ姉さんを主軸とした上質なラブコメ回でもあり、時折描写される彼女の心象風景や、デートに挑む時の素直な姿が、とても可愛らしかったです。
 あとキマシタワーな。これ絶対外せないから。

 なお鬼太郎とねずみ男のバトルは、JSならぬJKを巡って一瞬だけ発生。
 さすがにJSはまずかったのでしょうか。まあ、まずいと言えば、原作での拉致も今回はナンパに改まってましたからね。さすがにそこは、いろいろとね。うん。

 一方いやみの方は、原作にあった「人の楽しみを食べる」という要素はオミットされ、イロ気を振り撒くのが目的の妖怪に改変されていました。
 しかし首が外れてからの本体登場は原作どおりでしたね。
 腕を伸ばすのは、原作では人間態の時に使っていた技ですが、今回のアニメ版では本体に変わってから使用。そして、原作で弱点として描写されていた肝心のキン×マが見えないなーと思っていましたが、見えないだけでちゃんと付いていたみたいでよかったです。
 見えんけれども(キ×タマは)おるんだよ。

 そんなわけで、とても面白かったです。
 あとキマシタワー ←もういちいち消さない


 さて、次回は……「やまたのおろち」!
 これも鬼太郎シリーズ以外からの映像化ですね。第二~四期まで映像化されてきた定番ネタですが(四期は原作と関係ないストーリーでしたが)、今回はどうなるでしょうか。
 果たして呼子は今後レギュラー入りできるのか。 ←これが一番気になる
 ではまた次回!

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