解題「マキゾエホリック」 第十二回

 前回に続き、今回は二巻目以降の解題である。


◆「マキゾエホリック Case2:大邪神という名の記号」
 失われた古代文明やら前世の記憶やらと、とにかくオカルト的な題材を散りばめた二巻目である。ついでに言えば、大邪神はクトゥルフ神話だし、全体の流れはホラー少女コミックのイメージだ。いや、後者は意外と気づかれなかったようにも思うが、その辺は、「ベタな三角関係にオカルト要素が介入して、破滅の道へ進み出す」という流れから察していただきたい。
 ともあれそういう意味では、現在まで書いた中でも、最も自分らしい作品――と言えるかもしれない。オチのダークなところも含めて。
 ちなみに余談だが、本作では乙組生徒の中でも異色中の異色、「ネコ」が初登場する予定であった。が、あいにく「キャラクター数を無闇に増やすな」の指導のもと、割愛されたという次第である。劇中に登場するアイテム――「言語を翻訳する首輪」に、その名残を感じていただければ、と思う。


◆「マキゾエホリック Trouble1:密室という名の記号」
 短編である。「ザ・スニーカー」掲載後、単行本には未収録。もちろん電子書籍化などもされていないから、雑誌のバックナンバーを当たる以外に、読む方法はない。おかげでストーリーなどもほとんど知られていないと思われるので、内容の紹介も併記しておきたい。

 場所は放課後の図書室。高浪藍子は、同じ図書委員である「殺し屋」瑪瑙凛と二人、本の整理をしていた。他にこの部屋にいるのは、机で爆睡中の「吸血鬼」帷子ミリルだけ。三人とも別々にいるため、本棚に遮られて互いの様子は分からない――。そんな中で、不意に事件は起きた。
 突如鳴り響く一発の銃声。藍子が駆けつけてみると、そこには気を失って倒れた凛の姿があった。そして彼女の手には、今撃ったばかりと思しき拳銃が握り締められている。
 そこへ目を覚ましたミリルがやってくる。藍子は慌てて、凛の拳銃を自分のポケットに隠そうとした。なぜなら、凛が殺し屋だという事実を、他の生徒に知られてはならないからだ。しかしこの行動が、藍子を窮地に追い込むことになる。
「どういうことかしら。銃声が聞こえて起きてみたら、瑪瑙が倒れていて、あなたがピストルを持っていて……」
 そう、ミリルは藍子を疑い出したのだ。そもそも銃声の後、誰かが図書室から出ていった気配はない。犯人は藍子かミリル、二人のうちのどちらかに違いない――。
 と、そこへ新たな訪問者が現れる。「巫女」の焔邑相馬だ。彼女は逃げ出した「鏡の妖怪」を追っている最中だと言うが、話を聞いてみると、どうやらその妖怪こそが、凛を襲った犯人であるらしい。しかもよろしくないことに、妖怪には厄介な能力があった。
 普段鏡の中にいるその妖怪は、鏡から抜け出す際には、今まで姿身に映ったことのある人物を一人選んで、姿をコピーするのだ。見分けるポイントはただ一つ、外見の左右が本物とは逆になることのみ。そして――妖怪は、まだこの図書室にいる。ここにいる「誰か」の姿に化けた上で……。

 とまあ、このような具合である。
 舞台を放課後の図書室に限定し、ロジカルな推理合戦が繰り広げられるという、いつになくガチな(ただし真相はあくまで「マキゾエ」的な)ミステリーになっている。掲載当時は、読者アンケートでも概ね好評だったと聞かされたが、私自身もお気に入りの短編であり、それゆえ未収録作品として埋もれている現状が口惜しい。
 なお、工藤が出てこない唯一のエピソードでもある。


◆「マキゾエホリック Case3:魔法少女という名の記号」
 現時点での最新作である。
 今だから正直に言ってしまうが、もともと三巻目では、灘という人間の抱えた問題を掘り起こすつもりであった。当然、魔法少女も体育祭ネタも絡まない。しかし編集側から、「乙組生徒が出揃ってないうちから、それをやるのは早い」との意見を頂き、やむなく別のネタに変更することとなった。
 この魔法少女エピソードは、もともと構想自体も軽いものであり、ストーリーもほぼ定まっていなかった。おかげで「書きながら考える」といういつもの悪い部分が、顕著に反映されたように思う。

 なお、とある事情ゆえのシリーズ中断の話を聞かされたのは、この三巻目の執筆途中のことであった。ただし「いずれ再開はしたい」とも言われたため、決して最終巻のような内容にはせず、あくまで途中にある一エピソードとして書き上げた。
 これが正しかったことなのか、それとも間違っていたことなのか。今でも結論は出ていない。例えば、私がこれから先、自主的に「マキゾエ」の続編を書き、何らかの形で(それがたとえ商業媒体でなくとも)発表できれば――少なくとも、悪い結論には至らないはずである。たぶん。


 以上をもって、「解題 マキゾエホリック」の連載は終了としたい。
 なお今後は、一年乙組及びそれを取り巻く登場人物について、詳しく一人ずつ解説していきたいと思う。いまだ空欄の多い名簿を、補完する形にもなるはずだ。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : マキゾエホリック

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