解題「マキゾエホリック」 第二回

 さて、いま一度第一回の記事を見返してみると、何やら得意げに自画自賛しているアレな人のように思えなくもないわけだが、もちろん「自慢すること」が目的の連載ではない。そもそも「伝えたいことを作品の中で表現し切れなかった」という事実が、その作品にとって、また作者にとっていかに致命的であるかは、言うまでもないだろう。
 しかし、だ。逆に失敗作であったと自虐的になる気持ちもない。様々な要素を模索し、練り合わせたればこそ出来上がった「マキゾエ」だ。荒削りな内容は決して完成形とは言い難いが、そこに込めたあらゆる価値観は、今でも私の中ではまったく色褪せない。
 だからこそ。私が望むのは、あくまで「解題」なのである。

 本題に入ろう。まずは「マキゾエ」の物語における基本パターンを振り返っておきたい。


◆「マキゾエホリック」基本ストーリー
 私立御伽学園一年乙組。そこには「幼馴染」や「ロボット乗り」、「勇者」や「魔法少女」、「吸血鬼」や「お嬢様」など、間違った方向に個性豊かな生徒が集っている。彼らは日々、己の抱えた背景(要するにバトルやらラブコメやらホラーやら)に忠実な非日常的日常を好き勝手に過ごしているが、そこに何かと巻き込まれてしまうのが、主人公の高浪藍子だ。そんな藍子に「巻き込まれるな」と苦言を呈しながら、クラスメイト達の問題行動(要するにバトルやら以下略)を治めていくのが、もう一人の主人公、灘英斗である。
 だが、灘と藍子が絡んだ騒動の奥に蠢くのは、「黒幕」を冠する乙組生徒・工藤スグルの影。彼に導かれ立て続けに起きる数多の事件は、やがて一つの巨大な真相へと繋がっていく。果たして藍子と灘は、そのすべてを解決することができるのか。


 以上。概ねこのような具合だ。まあ、ミステリーである。
 物語は一部の例外を除き、主人公である藍子の視点から語られる。その中で表立って描かれるクラスメイトは、探偵役の灘と黒幕の工藤、加えて事件に絡む一部の生徒のみに限られ、残りは端役となる。あるいはミステリー仕立てという観点から、「端役に見せかけつつ、実は事件に絡んでいた」例もあるが、基本的に乙組の大多数がエキストラであることには違いない。
 しかし、このエキストラ達には名前がある。特殊な力があり、特殊な日常がある。誰もが物語の主役を張れるだけの設定を抱えながら、しかしその設定は極めて「ありがち」で、加えて彼らは、あくまで主人公を取り巻く「周辺」でしかない。
 このあり方は、兎にも角にも登場人物の「個性」が重視されるライトノベルにおいては、非常に異端であると言える。そもそもライトノベルは、キャラクターの数だけ個性を存在させねばならず、敢えて直接的な物言いをするならば、そのすべてのキャラクターが「商品」として成り立たねばならない(……と、多くの作り手や受け手が考えているのは間違いないだろう。その良し悪しはともかく)。
 しかし、だ。私は「マキゾエ」を、少なくとも応募原稿である「君等の記号/私のジケン」を書いた段階では、そのような形にはしなかった。いや、実のところ一つの選択肢として浮かびはしたが、すぐに封印した。
 なぜか。理由は、ある。

 その答えを示すものとして、私はここに、ある一編のプロットを用意した。今から六年ほど前に、私が新人賞応募原稿用の長編として考案した物語だ。それを今からお目にかけよう……と思ったが、どうやら少しばかり前振りに幅を割きすぎたようだ。
 問題のプロットとその解説は、次に回すこととしよう。だが、これだけはあらかじめ断言しておく。
 私が用意したこの物語こそ、「君等の記号/私のジケン」を経て「マキゾエホリック」へと繋がる、根源的思想が凝縮された最初期のプロトタイプである、と。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : マキゾエホリック

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