怪物映画レビュー 『ロスト・ウィークエンド』

原題:LONG WEEKEND
2008年・オーストラリア

 とある、仲がすっかり冷え切った夫婦。夫は妻との関係を繋ぐため、週末を利用して美しいビーチへキャンプに出かけようと考える。しかしアウトドアの嫌いな妻は、決して乗り気ではない。ギスギスしながらもどうにか出発した二人だが、雨の森で道に迷い、車が立ち往生してしまったことが、険悪な空気に拍車をかけていく。
 しかし車の中で一夜を過ごし朝が来れば、目的のビーチはすぐ目の前にあった。美しい大自然溢れる無人の海岸。さっそくはしゃぐ夫。文句を言いながらも付き合う妻。ただ、後で合流するはずの友人達が、なかなか姿を現さない。本当にここは目的のビーチなのか? そんな疑問を抱く妻を宥める夫だが、二人の不安を煽るかのように、次々と不可解なことが起こる。
 安全装置を無視して暴発する水中銃。夜の闇に響く泣き声のような何か。不自然に早く腐る食料。そして、海の中から夫に向かって泳いでくる黒い影……。
 影の正体が分からぬまま、夫は猟銃を発射する。たちまち血に染まる海。そして浜に打ち上げられたのは、一頭のジュゴンの死骸だった。どうやら我が子を捜していたらしい。なぜなら浜には、ビニールテープに絡まれたジュゴンの子供が、死骸となって転がっているのだから。
 美しい大自然。しかし人間はそこにゴミを捨て、殺虫剤を撒き、鳥の卵を割り、面白半分で銃を撃つ。ならば、この夫婦のもとに次々と起こる不気味な現象は、大自然が人間を排除しようと働きかけているものなのか。襲いかかる鳥。行けども行けども森を抜け出さない道路。まるで二人を追うかのように、いつの間にか移動してくるジュゴンの死骸。
 やがて夫は見てしまう。ビーチの奥には、先客と思しきキャンパー達の無残な死体がいくつも……。


 調べてみたところ、『ロング・ウィークエンド』という映画のリメイクだそうです。内容はほぼ一緒だとか。
 超常的な事態が起こるとは言え、その中身に捉えどころがなく、何ともモヤモヤした感じを生み出している本作。無神経な人間に対する大自然の怒りなのか。あるいは子殺しの報いなのか。まあ、この際もっと安直にジュゴンの祟りとかでもいいんですが(よくないってば)、結局「どうとも受け取れる」というのが正しいところ。どのみち明確な襲撃者というものは存在せず、「美しい大自然の中で何かが狂っている」雰囲気を楽しむべきホラーなのでしょう。
 文明の利器も頼るべき隣人も存在しない、無人のビーチ。あらゆる助けから切り離され、ただひたすら静かな空間の中に孤独と一緒に放り込まれることが、どれほど不安とイコールか。インドア派の自分としては、無理やりキャンプに連れ出された奥さんに同情などしつつ、「あー虫やだねー」とか「上半身裸で草むら歩くなんてあり得ないよねー」とか考えながら、大自然に蝕まれてヒステリーに陥っていく感触を存分に味わったのでありました。
 たぶんアウトドア嫌いな人の方が、この嫌さを加減を満喫できるのではないかと。

 あとジュゴン怖ぇ。あんなマッタリした顔なのに、それがむしろ怖ぇ。

テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : モンスター 映画

お知らせ
最新記事
カテゴリ
ユーザータグ

モンスター 映画 告知 妖怪 妄想少女 モンスターハンター リバース;エンド 異世界妖怪サモナー アニメ 多元宇宙 ポケットモンスター 二次元名鑑 闇堕ち騎士がダンジョン始めました!! 小説雑感 PSP マキゾエホリック ウルトラマン ボードゲーム 世紀末オカルト学院 DS 3DS カクヨム 小説 相棒 

検索フォーム
リンク
月別アーカイブ