怪物映画レビュー 『アイボーグ』

原題:EYEBORGS
2009年・アメリカ

 時は2500年代。止まない国際テロの脅威に対抗するため、アメリカ政府は「監視自由法」を制定。監視カメラを搭載した自律移動ロボット「アイボーグ」を町のいたる所に配備し、対テロ用の総合的な監視システムとして機能させていた。
 だがある時、大統領の甥を狙った一人のテロリストが、人知れずアイボーグによって殺害されてしまう。しかも一見自殺を装った彼の死は、その監視映像すら巧妙に加工されていた。さらに、異変に気付いたテレビ局のカメラマンもまた、飲酒運転を装った事故に見せかけられて殺害。そしてアイボーグの魔の手は、大統領の甥を中心に、じわじわと狭まりつつあった……。
 ヘヴィメタルバンドのギタリストでもあるこの青年は、数日後に控えた大統領の演説会場に招待されている。これらの繋がりから考えるに、何者かがアイボーグのコントロールを乗っ取り、大統領暗殺を企てている可能性が高い――。主人公の捜査官はそのことに思い至るが、今やアイボーグの作り出す加工映像こそが絶対的な物的証拠。上層部も「事件は解決済み」の一点張りで、適切な捜査すら許されない。
 そしていよいよ訪れた大統領演説の当日。敵の巧妙な暗殺作戦に気付いた捜査官は、急いで会場となる建物へ突入する。だがそこで彼が「目」にしたのは、あまりにも意外な真実だった……。


 近未来を舞台にしたSF作品。アイボーグと総称される目玉ロボットの軍団が暴れまくる、アクションサスペンスでもあります。
 何よりの見所は、やはりこのアイボーグ達。目玉に脚が二本生えただけの小さいもの(結構キュート)から、蟹のような形の中型タイプ。果てはキャタピラ付きの銃撃部隊や、四肢を駆使して駆け回る大型機まで、実にバラエティ豊かな顔ぶれ。しかも彼らの武器が多彩ってのも楽しいところ。小型のものはスタンガンやライター程度ですが、大きくなると火炎放射器やドリルといったロマン溢れるものまで駆使して、次々と人間達を闇に葬ってくれます。
 しかもその葬り方が嫌らしい。車を運転しているカメラマンを羽交い絞めにして、無理やり口に酒を注ぎ込み、事故死を狙ったり。あるいはリスカ経験のある少女なら、カミソリで手首を切ってバスタブに沈めたり。基本的には事故や自殺に見せかけるので、自分達の証拠を一切残さず、捜査官には偽造した監視映像を見せるんですね。で、これらの偽装工作を人間がやるなら普通なんだけど、異形のロボットがさも当然のように淡々とこなすから、得体の知れない不気味な光景に仕上がっているわけです。
 おまけにこれらアイボーグのVFXが、低予算映画とは思えないほど出来が良かったり。特に小型目玉が秀逸。これが町のあちこちでキョロキョロしていたり、集団で人間を取り囲んだりするところなんかは、動きや合成も含めてまったく違和感なし。ついでに言えばマスコットとしても秀逸で、特にエレベーターの扉に激突してひっくり返るところなど、もはや普通に可愛い物体と化しています。
 ……いや、本当は不気味なやつなんですけどね。その目玉を通して、悪意を持った人間が犠牲者を監視しているわけですから。

 一方で、シナリオの方もきちんと練られているのが嬉しい。終盤の意外な展開から、すべての真相が明かされ伏線が回収されるラストまで、謎解き物としても充分納得できる形になっていました(例えば序盤の、甥っ子がアイボーグに命を救われる展開。あれもちゃんと意味があるんですね)。
 久々の真っ当な良作。こういう作品こそ、もっと広まってくれればいいのに。

テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : モンスター 映画

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