怪物映画レビュー 『マンイーター』

原題:ROGUE
2007年・オーストラリア

 オーストラリアの大自然を走る巨大河川。そこでは地元の観光業者によるクロコダイル・ウォッチング・ツアーが人気だった。今日もガイドに率いられ、一艘のクルーズ船が川を上っていく。
 だが折り返し地点まで来た時、乗客の一人が救難信号を発見した。場所はこれよりもさらに川上――現地の人々が「聖地」と呼び、誰も近づかない場所だ。放ってはおけないないからとそこへ向かうガイド達。だが信号の発信地点には、転覆した無人のボートと、一匹の巨大なイリエワニがいた……。
 ワニに襲われたクルーズ船はたちまち浸水。辛くも近くの小島に逃げた一同は、この場所がワニの縄張りであり、迷い込んだ人間はすべて餌にされてしまうことを知る。水辺は危ない。だが満潮になれば、この小島は沈んでしまう。そうなる前に川を横切り、対岸へ渡らなければならないのだが……。
 無線は効かず、助けすら呼べない。そんな極限状況の中、ワニは執拗に彼らを狙い、貪り食っていく。果たして彼らは、この恐怖の怪物から逃げ切ることができるのか――。


 みんな大好きワニ映画。パッケージにはサム・ワーシントンが堂々と主役ポジションに納まっていますが、ただの食われ役でした。いや、イケメン枠としてちゃんと見せ場はあるんだけど、割とあっさりガブリと(笑)。
 というかこの作品、主人公とヒロイン(とワニと犬)以外は途中で蚊帳の外になってしまいますから、いわゆる「誰が生き残るか」を楽しむタイプの映画ではないんですね。主な舞台も、小島とワニの巣穴の二ヶ所と、すごく限定的。ワニが姿を現すシーンも意図的に抑えられている。だから展開としては明らかに地味なはずなんですが、不思議なことに、見ていて全然飽きないんです。
 暗闇の中に蠢くワニの恐怖。絶望的な状況に陥った乗客達の閉塞感。そして彼らの諍いが生む苛立ち――。これらが上手に緊張感を盛り上げ、見ている者を惹き込んでいく……。
 思うにこれは、アクションではなくホラーのやり方です。だからこの作品は、いわゆる「モンスターパニック」ではないのでしょう。どちらかと言えば、余計な枝葉を取り除き、限定的な舞台の中で恐怖シーンを展開する、「シチュエーションホラー」にジャンル分けするのがふさわしいと感じました。
 ……いや、ジャンル分けなんてのも野暮な気もします。敢えて言えば「ワニの映画」。これだけで充分でしょう。
 ワニ映画に新たな傑作が生まれたことに乾杯。

 ちなみに一番のお気に入りシーンは、犬の悲鳴と光の遮断だけで、ワニの出現だと分からせたところ。
 『ジュラシック・パーク』の水の振動とかもそうですが、モンスターの出現シーンを工夫すると、それだけで作品がすごく映えるんですよね。

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : モンスター 映画

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