怪物映画レビュー 『アイス・トレマーズ』

原題:HYPOTHERMIA
2011年・アメリカ

 毎年恒例のアイス・フィッシングを楽しむため、冬の湖へキャンプに訪れた一家。だが、その年はどこかおかしかった。厚さの不安定な氷。氷上に転がる血まみれのコヨーテの死骸。そして魚は一匹もかからず、何か大きな影が水の中を蠢いている……。
 そこへちょうどやって来たのが、空気の読めない釣り初心者のおじさん。水中を泳ぐ「何か」を釣り上げるべく、一家を誘って共同戦線を張ったはいいものの、大事な一人息子が氷上の穴から湖に引きずり込まれ、「何か」にヒレでザックリ切りつけられてしまう。
 始めは「大したことない」と高を括っていたおじさんだったが、どうやらそのヒレには毒があったらしい。感染症を起こして苦しむ息子の姿に、病院へ行くことを勧める一家。だがおじさんは、あくまで釣りを続行。すでに後には引けないとばかりに、「何か」を釣り上げることに執念を燃やす。
 一方、息子の方は傷に苦しみながら、訴える。「あれは魚じゃない。脚があった」と。
 そう、やつは脚がある。氷上を歩くことができる――。
 真夜中、ついに氷の穴から飛び出し、周囲を照らす照明の中に佇んだ「何か」。それは人とも魚ともつかない、不気味な未知の生物だった……。


 邦題の元ネタになっている『トレマーズ』は、地面の中を這いずり回って人間を食らう怪物・グラボイズが登場する、「陸版ジョーズ」として人気を博した名作モンスター映画。そのソフトパッケージをあからさまに真似て、氷の下から巨大な口が迫るかっこいいジャケットが印象的な本作は、いざ中身を見てみれば、胡散臭い半魚人がささやかに人を殺しまくるだけの、何とも言えない脱力感漂うサスペンス風モンスタームービーでございました。
 いや、「半魚人」と言いましたが、設定上は「両生類と哺乳類の中間にある生物」とのことなので、カエル人間みたいなものかもしれません。顔は、カエルと魚を足して二で割ったような感じです。
 ちなみにCGはそれなりに頑張っていて、皮膚のヌメッとした質感なんか結構良くできているように思えるのですが、そもそもの顔面のデザインが、お目目パッチリ&口パカーッで脱力感漂いすぎていて、現れた瞬間吹く以外の選択肢がなくなっています。まあどうでもいいです。

 一方でストーリーの方は、限られた環境の中で少数の人間が、閉塞感と緊張感を漂わせながら、静かにドラマを進めていくといった具合。地味とは言え、決して出来が悪いわけではありません。価値観の異なる二つの家族のギスギス感とか、それでも交流せざるを得ない絶妙な距離感とか、その辺が何となく共感できてしまうところが面白い。空気が読めない憎まれ役のおじさんも、百パーセントの悪人ではないところが好印象。ちょっと調子に乗っちゃってるだけで、本当は家族想いなところとか、よく描写できていると思います。
 だからこそ、ですね。そんな雰囲気の中で、暗闇から堂々と間抜け面の半魚人が飛び出してきた時の脱力感と言ったら(略)

 そして、サスペンス部分ではそこそこ盛り上げてくれながら、結局人間側が半魚人を退けるために取った手段が、「説得して湖に帰ってもらう」というのは……。
 オチまで脱力感満載。大真面目に考えれば、この映画のテーマは、「領域を侵さないこと」なのかもしれませんが……。もうちょっとこう、何かなかったのでしょうか。

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : モンスター 映画

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