怪物映画レビュー 『ビーチ・シャーク』

原題:SAND SHARKS
2011年・アメリカ

 かつてサメの被害が出て以来、観光客の減少に苦しんできた、小さなリゾートアイランド。だが町長の息子が一計を案じ、この島で若者をターゲットにした、大規模なミュージックパーティーを開くことを提案する。さっそく準備を進める町長達だが、時を同じくして、島のビーチでは不可解な事件が発生していた。
 砂浜でバイクに乗っていた若者が、何かに食い殺されたのだ。保安官はサメの出現を疑うが、それにしては死体の位置がビーチから離れすぎている。しかし次々と新たな犠牲者が出るに連れて、恐るべき事実が明らかになった。
 犯人は、砂の中を泳ぐことができる古代鮫。その名も「ビーチ・シャーク」。当然ながらビーチは閉鎖されるが、町長達はこれに反発。その後すったもんだの末、現れたビーチ・シャークをついに退治することに成功する。
 だが事件は終わっていなかった。いよいよ開催されたパーティーの日、大勢の若者達で盛り上がるビーチに、何匹ものビーチ・シャークが現れたのだ。


 サメ映画好きの、サメ映画好きによる、サメ映画好きのためのサメ映画……として作られたこの作品。全編がいろいろなサメ映画のオマージュに溢れていて、どんだけ局地的な客層を狙っているのか心配になったりもしますが、キャラクター描写に力を入れたコメディタッチのシナリオは、なかなかにユニーク。基本的に内輪受けパロディなので、その辺は個人的にややマイナスだったりするものの、充分補って余りある楽しさがありました。

 特筆すべきは、『トレマーズ』よろしく地中から襲ってくる巨大ザメ……ではなく、間違いなく町長の息子。自信満々のワンマン実業家で、権力者(町長)と繋がりがあって、女ったらしで、ビーチの閉鎖に反対して……と、明らかにヒールの要素を持っているくせに、実際には全面的にヘタレで、かつ無駄に善良。
 サメに父親である町長を殺されてからは、「親父のためにもパーティーを成功させる!」と熱意に駆られて、サメが駆除しきれてないビーチでパーティーを強行し、いざサメが現れれば、パニックになって逃げまどう客達に「踊ろうぜ!」とプチ発狂。さらに、元恋人がサメに下半身を食いちぎられて瀕死になると、はみ出た腸をつかんで、「これを戻せば助かるかな?」と腹に戻そうとして、結局上手く戻せなくて諦めてみたり
 仲間も信用も失い、これでもかと言うほどヘタレっぷり発揮しながらも、だからこそ、最後のサメ退治作戦で彼が取った「ある行動」は、可笑しさとともに悲哀を誘う名シーンになれたのではないでしょうか。
 とにかく全体的にアクの強い本作の登場人物の中でも、異彩というか極彩色というか、なんかもうわけの分からないものを放っていて、「コメディリリーフかつヒールで悲劇のヒーローで、たまに発狂するヘタレ」という、謎すぎる位置づけにも無理がない。役者さんのアドリブも手伝ってか、彼が一人でストーリーを引っ張っていると言っても過言ではなく、その死に際の活躍も含めて、モンスターパニック史に残してあげたい名キャラクターだったと思います。
 ついでにもう一人、印象強く残ったのが、彼の部下である若い女性。いかにも下っ端な立ち回りから一転、ド外道な本性を表し、そのまま直球ヒールと化すインパクトは抜群。オチで気合いの入った食われ方をするところも含めて、本作の女性キャラの中では最も輝いていたんじゃないかな、と。

 ……なんか人間の話ばかりで、サメが放置されていますが、まあ、こちらは割と普通だったので。
 砂の中を泳ぐメカニズムなんかは、いい具合にハッタリを効かせてくれていますし、「幼魚の群れを倒したら、遥かに巨大な親が現れて……」みたいなお約束のクライマックスも嬉しい限りですが、如何せん他の連中が強烈すぎて、微妙に空気と化していました。CGが安っぽかったのもマイナスかも。
 あと「安っぽい」と言えば、数千人来ているはずのパーティー客が、どう見積もっても数十人しかいません。まあ、エキストラ集めるのだって金かかるし、しょうがないっちゃぁしょうがないんですけどね……。

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : モンスター 映画

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