ゲゲゲの怪談

 先月末に関東ローカルで放送されたドラマ、『水木しげるのゲゲゲの怪談』。鬼太郎のようなシリーズものではない、純粋な短編作品を原作にしたオムニバスドラマということで、わくわくしながら視聴させていただきました。
 水木短編の映像化と言えば、やはりアニメ版鬼太郎のそれが有名ですが、あれはあくまで『鬼太郎』の枠に納まるように作られていたもの。一方今回の『ゲゲゲの怪談』は、それこそ同じフジテレビの『世にも奇妙な物語』のように、完全に一話一話が独立したエピソード。その分、より一層バラエティ豊かな仕上がりになっていたと思います。
 せっかくなので、各話の感想など綴ってみたいと思います。


◆ブリッジ
 各話の導入として、目玉おやじと猫娘の掛け合いシーンが入りました。
 ドラマの世界観を、お馴染みの鬼太郎ワールドと繋げることで、視聴者への間口が広がったと思います。
 もっとも水木短編ということなら、ねずみ男の方が適任では……とも思うのですが、まあ、花を添える意図もあったのでしょう。
 おやじさんがちょっと早口なのが気になりました。

◆『砂かけばばあ』
 正直に申し上げますと、全四話中、唯一不満の残ったエピソードです。
 ストーリーの基盤はきちんと原作を踏襲していて、砂かけばばあや主人公の演技もバッチリで、そちらは特に問題はなかったのですが……。
 短い原作を30分近くまで引き延ばす必要があったためか、後半の流れが非常にくどく感じられました。
 主人公が砂かけばばあを裏切り、ばばあが怒って復讐し、主人公が改心するふりをして、また裏切り……。この流れを何度も繰り返す必要はあったのでしょうか。もしかしたら、「怪談の一話目だからこそ、恐怖シーンをたっぷり見せたい」という意図があったのかもしれませんが……。
 まあ邪推はともかく、原作はどちらかと言えばショートショートに近い作品です。なのでドラマ版でもコンパクトにまとめた方が、ショッキングなラストが、より効果的になったのではないでしょうか。
 ……と言いつつ、そのラスト自体も、ドラマ版のもう一つの不満でして。
 うーん、あの顔は……。それこそ原作どおりにしてくれた方が嬉しかったです。
 まあ、放送コード的に難しかったのかもしれませんが……。

◆『妖怪枕返し』
 二話目にして、まさかの原作大幅改変。でも面白かったです。
 原作では出世欲に満ちていた主人公が、ドラマ版では無欲な性格に変更。また、もともとチョイ役だった婚約者も、ストーリーの中で重要なポジションを担う役として、(ルックスともども)大きく生まれ変わっています。
 作品の雰囲気も、ドライだった原作から一転、人情味溢れる温かな物語に。それでも、このドラマ版が水木作品らしさを損なっているとは、決して思いませんでした。
 理由はやはり、「無欲で純朴だったはずの主人公が、夢の中では出世したことで強欲な性格に陥ってしまい、人生を狂わせていく……」という皮肉さが、しっかり描かれていたからだと思います。
 人間は欲からは逃れられない。これは水木作品における、大きな前提の一つです。だからこのドラマ版は、水木作品であることをしっかり守れたのだ、と思います。
 ……もちろん、枕返しと三馬鹿上司の存在感が強烈だった、というのもありますが(笑)。

◆『不死鳥を飼う男』
 この佐野史郎さんの安定感。水木キャラを演じられるのは吸血鬼エリート以来でしょうか。
 前半二話が引き延ばされたのに対し、この三話目はやや短縮気味。一番の山場である鳥籠観察の場面で、鏡や新聞の下りが省かれてしまったのは残念ですが、全体の雰囲気は充分原作どおりだったと思います。
 主人公がニート化するオチは共通ながら、幸運への足掛かりを見つけて希望を持つ原作とは異なり、ドラマ版では、まさに「ニート」としての悲惨さを重視した描写に変わっていました。これはこれで好きです。何なら、最後にカーテンが捲れ上がるカットもなしでよかったんじゃないか、と思ってます。

◆『永仁の壺』
 怪奇色の強かった原作から一転、親子愛を軸に据えた感動系の作品へと、大幅な改変がなされました。
 主人公が秘境から持ち帰った壺を追って、河童が迫ってくる……という流れは変わらないものの、原作で学生だった主人公は、ドラマ版では病気の子供を持つ母親に変更。壺はその病を癒す薬であり、母親が壺を持ちかえったのも子供のため。そして母親は河童に壺を奪い返されまいとし、子供は河童のために壺を返そうとする……などなど。とにかく完全に別物のストーリーになっています。
 しかし筋の通ったテーマを心がけているので、決して不快感はありませんでした。まあ、ちょっと最後の最後で地味な話になったかなー、という気はしますが。
 ……素直に感動できればよかったのですが、その辺はもう一押しですね。


 以上、各話感想でした。
 あれこれ書きましたが、やはり水木ファンとしては、まさに待ち望んでいた番組でした。二時間、本当に楽しませていただきました。今後もこういう企画が通ってくれると嬉しいです。
 『丸い輪の世界』とか、ぜひやってほしい。あとは『サイボーグ』とか。

テーマ : テレビドラマ
ジャンル : テレビ・ラジオ

tag : 妖怪

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