優衣と享子の、ある可能性

 さて、今回は改めて『リバース;エンド』の話をば。
 実質的には「前後編」となってしまったこのシリーズですが、実は全3巻の構成にする予定だった……というのは、以前もここに書いたとおりです。
 ただ、不幸中の幸いとでも申しますか。3巻完結が2巻完結に減っただけということもあって、シリーズの大筋が変わることはありませんでした。2巻は1巻に比べると、ストーリーの重々しさやSF設定が増量しておりますが、それもすべて予定のうちです。1巻はあくまで敷居を低くし、巻を追うごとに残酷な全容が見えてくる……というコンセプトは、かなり最初の段階から、編集部との打ち合わせで決めていたことでした。
 ただその結果、3巻が2巻になったことで割を食ったキャラが、約二名おりました。
 ええ、優衣と享子です。

 もともと2巻以降は重苦しい雰囲気になる予定だったため、この二人には息継ぎの意味も込めて、サスペンスタッチな山場を作ってもらおうと思っていました。
 もちろんそこには悲劇的な要素が絡んでくるのですが、1巻のラストと同じことを……なんて安直な真似をするつもりはありません。そこは次元連死や転送システムの設定を生かしつつ、もっと違うタイプの悲劇を用意しておりました。
 しかし2巻完結となると、そのような展開を挟む余地はなく……。結局この二人には、非常に無難な役回りを演じてもらうのみになりました。
 
 今回はせっかくなので、上記の理由からカットせざるを得なかった二人の山場の流れを、記しておきます。
 なお、ここから先は2巻の展開がややネタバレ気味に書かれております。未読のかたはご注意くださいませ。
 
 
※以下はあくまで構想段階のものであり、細部の辻褄合わせ等は、割とアバウトです。また、実際に執筆することができたとしても、異なる展開になった可能性が多々あります。
 そもそもきちんと書こうと思ったら、全四巻ぐらいにはなるんじゃないかと。
 その点はご了承ください。あくまで、「こうしたかったな」程度のものですので……。


◆享子の場合
 2巻の中で、享子の父親にある事件が起きます。「大したことはなかった」で済んだこの事件ですが、予定ではここで享子の父親が重体に陥り、それを受けて享子が勇輝に代わる「転送者」となる予定でした。
 つまりパラ子から持ちかけられるわけですね。「紗耶香を助けてくれたら、お礼にお父さんを助けてあげる」と……。
 ちなみに、この「助ける」という言葉が何を意味するかは、実際の2巻の終盤を参考にしていただければ、何となくお分かりいただけるかと思います。
 ともあれ、享子は勇輝に匹敵する空想力の持ち主。並行宇宙で特殊能力を武器に、ティンダロスと戦おうとするわけですが――。
 その世界で紗耶香を殺そうとしているのは、ティンダロスではなく、ある殺人鬼の少年でした(ティンダロス自体は同時に出現しますが、少年には宿りません)。彼は紗耶香を愛しながらも、その愛という感情を「獣じみた浅ましいもの」であると否定し、「自分を獣に貶めた」紗耶香を殺そうとします。そんな危険な相手を前に、享子は力及ばず返り討ちにされかけます。
 ……享子を助けたのは、ゼロ宇宙から駆けつけた勇輝でした。勇輝は失っていた想刻弾(詳しくは本編参照)を取り戻すと、享子と紗耶香を無事に救い出し、殺人鬼を一度は捕まえるのですが……。
(ここで2巻が終わって3巻に続く感じ)


◆優衣の場合
 享子を救ってゼロ宇宙に帰還した勇輝。しかしここで転送システムにエラーが発生し、並行宇宙の殺人鬼が、同時にゼロ宇宙に「精神転送」という形でやってきてしまいます。もちろんそのためには、殺人鬼の等号分子となる人物が、「受け皿」として必要なのですが……。
 この等号分子こそが、優衣でした。「悪役」であり、「恋愛感情がない」……。これらはすべて、その伏線です。
 並行宇宙の別人に意識を乗っ取られてしまった優衣は、ゼロ宇宙で紗耶香を殺すべく動き出します。それに気づいた勇輝はパラドクスとともに、紗耶香殺害を阻止しようとするのですが……。
 結局優衣(に宿った殺人鬼)は紗耶香を刺し、嘲笑いながら元の世界へ帰っていきます。あとには瀕死の紗耶香が。勇輝は紗耶香を救うため、パラドクスの力を借りて、最後の転送に挑みます。
 でもって、無事紗耶香を救い、帰還すると……。
 ……ここから先は、実際の2巻の四章と同じ感じになります。


 いかがでしたでしょうか。優衣のネタに関しては、実は2巻のエピローグで、ささやかにリサイクルしていたりします。
 なおこれに加えて、睦姫についても、実際の2巻とは異なる救済方法を考えていました。そちらについては、また別の機会にでも……。

 そして『リバース;エンド』には、これ以外にもたくさんのプロットが存在しています。
 いずれも「突飛すぎる」「ややこしすぎる」「ヒロインが助からない」等の理由から没になったものではありますが、そのバリエーションは実に様々。パラドクスの正体一つ取っても、試行錯誤もあって、プロットごとに異なるものが用意されていました。
 で、このまま封印してしまうのももったいないので、またいずれこのブログで紹介できればと思います。はい。

 ……どうよ、ちょっと作家のブログっぽいでしょ。
 

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド

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