『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第1回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第1回になります。
 プロローグ。まずは勇輝と紗耶香の関係から。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

◆プロローグ

 僕は大星勇輝(おおぼしゆうき)。輝かしい名前に反してさほど取り柄のない、ただの平凡な男子高校生だ。
 学校では図書委員に所属している。大して忙しい仕事もないので、放課後はいつも暇を持て余している。

 そんな僕の趣味は、物語を作ることだ。自分が主人公で、周りのみんなが脇役で……。そんな配役をもとに、荒唐無稽なストーリーを空想するのが、小さい頃から好きだった。
 高校に入ってからは、そんな幼稚な趣味を、少しステップアップさせたいと考えた。
 そこで、空想したストーリーをノートに綴るようにした。いわゆる自作小説ノートだ。
 ……いや、痛いだなんて思わないでほしい。だいたいクラスに一人は潜んでいるはずなのだ。
 平凡かつ平和なこの世界の中で、やはり平凡で平和にしか生きられないあまり、ひっそりとそんな空想に耽っている――。そう、僕みたいなやつが。

 僕が空想する物語の中でヒロインを務めるのは、同じクラスにいる、ある女子だ。
 名前は天永紗耶香(あまながさやか)。全部ア段。
 正直、学校一の美少女だと思う。長い髪がきれいな、おとなしい子だ。
 そして……学校一目立たない子だとも思う。
 笑顔を見せず、あまり人と話そうともせず、いつも一人でいる。最初は彼女を気にかけていた男子達も、彼女の孤立感に当てられてか、徐々に構わなくなっていった。
 ……僕も同じだ。最初は紗耶香の美貌に惹かれて、彼女を迷わずヒロインに据えた。しかし、同じクラスで過ごすうちに、それがミスキャストであることに気づいた。
 僕の空想の中では、紗耶香はまさに理想のヒロインだ。可愛くて明るくて、いつだってクラスで輝いていて……。でもそれは、あくまで僕が勝手に抱いていたイメージに過ぎなかったのだ。

 正直な話、現実の彼女と僕には接点がない。
 クラスは同じだし、何気に共通の友人もいる。なのに、言葉を交わす機会はほとんどない。たまに交わしても無難なものばかりだ。
 仲が悪いわけでないが、いいとは言えない。強いて言えば、ただの他人同士でしかない。

 僕のノートには、「僕に超人的な力が覚醒し、世界の運命を担う謎の少女・紗耶香を悲劇から守る」という、実に恥ずかしい物語が綴られている。
 しかしこの配役は、実際の紗耶香を知った今となっては、到底ベストとは言えない。
 それでも、僕はこの物語をノートに書き続けていた。深い理由はない。せっかく書いたものを中断して書き直すのは、単にもったいなかったからだ。

 しかし――後で思えば、このノートこそが、すべてのきっかけになっていたのかもしれない。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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