『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第2回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第2回になります。
 第1章-1。
 クラスにいる地味な美少女・天永紗耶香をヒロインに見立てて、ノートに自作小説を書いていた勇輝。
 だがある日のこと、絶対にあってはならない事態が……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

◆第1章 零番目の宇宙 それは僕と君が過ごす、平凡で有り触れた――

 僕には親しい女子が二人いる。
 同じ図書委員の深山享子(みやまきょうこ)と、図書委員でも何でもないのに図書室に入り浸っている滝野優衣(たきのゆい)だ。

 享子は、緩い喋りと緩い顔が特徴的。パッと見、幼い感じがする。
 読書好きで、僕とは趣味が合う。また、あの紗耶香の親友という、稀有なポジションでもある。
 しかし、クラスで最初に会った時の第一印象が薄かったせいだろう。僕のノートの中では、彼女はただのエキストラでしかなかった。
 実際は、こいつにSF談義をさせると止まらなくなるという、無駄に濃い部分があるのだけど。

 一方優衣は、美人な外見に反して、芝居がかった妙な喋り方が特徴的な、言わば変人だ。
 もともとは享子の友達で、その享子を通じて、僕ともよく話すようになった。
 鋭い目が印象的だったので、僕のノートの中では悪役として活躍している。
 もちろん現実では親友だが。……まあ、こいつは普段から僕をおちょくるのが趣味みたいだから、悪役でも構わないか。

 ともあれ、この二人や紗耶香に限らず、出会った時の第一印象なんてものは、とても当てにならないものだ。
 おかげで僕のノートには、ミスキャストが溢れている。
 ただでさえ人に見せられない代物だというのに、おかげでますます見せづらいものになっている。
 考えてもみろ。このノートには、「僕が周りの人間をどう見ているのか」が、かなり間違った形で書き綴られているんだ。そんなものが人の目に触れれば、大きな誤解を招きかねない。
 例えば……そう、「僕が紗耶香のことを好き」とか……。
 もしそんな情報が出回れば、僕は凄まじい勢いで周りからいじり倒されるに違いない。特に享子と優衣辺りから……。
 そんな悲劇が現実にならないように、僕は日々祈るばかりだった。
 だが――。


「いやぁ、知らなかったよ。ゆーきくんがこんな愉快なもの書いてたなんて」
「なぜ見た、享子、優衣……」
 ……ある日の放課後、僕は図書室で二人から、本当にいじり倒される羽目になった。
 僕のノートがついに見られたのだ。こいつらが勝手に僕のカバンをあさったせいだ。
「でもさ、私ゆーきくんと仲いいのに、チョイ役ってどういうこと? 冒頭一ページでテロに遭って爆死してるじゃん」
「それを言うなら享子、私なんか悪の怪人だぞ。適役なのは認めよう。だが、なぜ幹部でないのか」
 享子と優衣は僕のノートを手に、好き勝手な感想を述べている。
 ……いや、それだけならよかったのだ。なのに案の定、いらぬ誤解まで……。
「でも意外だったよ。ゆーきくん、紗耶香ちゃんのことが好きだったんだね~」
 ……そう、一番大きな誤解だ。
 しかし、ただの誤解で終わってくれはしなかった。
 その時、図書室のドアが開いて、絶妙なタイミングで訪ねてきた人物がいた。
 誰かって? 説明するまでもない。

「……あ、あの……。享子に会いにきたんだけど、その……」
 突如現れた天永紗耶香は、しかしそのまますぐに口籠ってしまった。
 僕と目を合わせようとしない。いや、普段からそんなに目を合わせる習慣はないけど……。
「天永さん、違うんだ。これは、ただの小説の話で……」
 僕は慌てて享子の手からノートをひったくると、それを紗耶香に見せた。
 ……見せない方がよかったかもしれない。冷静に考えて。
 しかし、時すでに遅し。
「……大星くん、小説書くんだ。凄いね……」
 それだけ言って、また紗耶香は黙ってしまった。
 顔が真っ赤になっている。でもそれは、僕も同じだ。
「ごめん天永さん、忘れてくれ!」
 僕は恥ずかしさのあまりそう叫ぶと、図書委員の仕事を放置して、その場から逃げだした。
 ……やはり誤解を招いたかもしれない。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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