『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第3回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第3回になります。
 第1章-2。
 紗耶香にノートを見られ、恥ずかしさのあまり逃げ出した勇輝。そんな彼の前に、突然奇妙なやつが現れて……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

 ……そう、言ってしまえば、この日は最悪だったのだ。
 とどめとなったのは、その帰り道のことだ。
 自転車で通り抜けようとした夕暮れの路地裏で、僕は不意にペダルを止めた。
 すぐ先に、僕の行く手を阻むように、妙なやつが立っていた。

 そいつは、フルフェイスのパワードスーツで全身をすっぽりと覆った、得体の知れないSF野郎だった。
 顔も見えないし、体格も分からない。
『大星勇輝、君に話がある』
 しかも出た声は電子音声だ。
 まるで未来から来た人型ロボット。……ただ常識的に考えれば、ぶっちゃけ誰かの変装だろう。
 しかし、こんな手の込んだ姿で僕をからかってくるようなやつに、心当たりはない。
 ……警戒する僕に、そいつは名乗った。

『私は、神だ』

「……優衣か?」
 やらかしてくるとしたら、あいつだろう。喋り方もそれっぽいし。
 しかし自称「神」は頷かなかった。
 頷かずに、僕にこう告げた。

『――宇宙は多元かつ並行である。故に、天永紗耶香は四十八時間以内に死亡する』

 呆気に取られる僕に、神は「並行宇宙」とやらのことを詳しく話して聞かせた。
 並行宇宙とは、いわゆるパラレルワールドだ。この世界とよく似ながら、別の可能性を持った世界――。よくSFなんかで扱われる代物だ。
 神曰く、このパラレルワールドというのは、いくつもの「宇宙」(=世界)が互いに影響を及ぼし合いながら、成り立っているものらしい。
 例えばある宇宙で犬が鳴けば、他の宇宙でも同じように犬が鳴く。この連鎖は「犬が鳴かない」という可能性に行き当たるまで、どこまでも続いていく。だからこそ、「よく似ながら、別の可能性を持った世界」が複数存在する……。そういうことなのだそうだ。
 ちなみにこの連鎖は、決まったルートに沿って働く。だから宇宙Aと宇宙Bで相互に作用するのではなく、宇宙AからBへ、BからCへ……と、一方通行的に、犬は鳴いていくものらしい。
 このルートを図に直すと、相当複雑な網目が浮かび上がる。その網目を把握しているのは、神だけだという。
 それはともかく――。犬は例えだ。肝心なのは、そこではない。

『間もなく、ある四つの並行宇宙で、天永紗耶香が死亡する。この同時多発的に発生する死により、この世界の天永紗耶香もまた、四十八時間以内に、高確率で死に至る。……大星勇輝、君にそれを防いでもらいたい。並行宇宙へ行き、天永紗耶香の死を回避するのだ』

 胡散臭い神は、僕にそう言った。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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