『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第7回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第7回になります。
 第2章-3。
 紗耶香の身に起こる一つ目の死を回避し、勇輝は元の世界に帰還する。
 そんな勇輝に、神はいくつかの補足説明をした……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

 ……気がつくと、僕は元の世界に戻っていた。
 場所は空き教室。目の前には神がいる。その手に持っている小型の機械は、僕を並行宇宙へ送っていた転送装置だろうか。
『まずは一つ目の死を回避できた。例を言おう』
 神はそう言うと、さっき僕の身に起きた「覚醒」が何だったのか、説明した。

『並行宇宙とは可能性の世界だ。そこには、君がノートに書いた物語のような、一見荒唐無稽な世界でさえ、可能性の一つとして確かに存在している――。先ほどの覚醒は、そんな並行宇宙にいる『主人公・大星勇輝』の能力を、私が君自身にリンクさせた結果起きたのだ。……言わば、君の思い描いていた能力が、現実のものとなったわけだ』
「……そんなことができるのか」
『あくまで、この装置で君を並行宇宙に送っている間だけだ。それに、君の頭の中に、リンク先の明確なビジョンが存在しなければ、このシステムは機能しない』
「……つまりどういうことだよ」
『分かりやすく言うなら、君が『主人公・大星勇輝』をきちんとイメージできていたからこそ、あの覚醒は可能だったのだ』
 ……要するに、僕がノートに物語を書き綴るような、空想力豊かな人間だったからこそ、そのリンクとやらが可能だった――と言いたいらしい。こいつは。
『だから私は、君を選んだ』
 神は確固たる口振りで、そう付け加えた。

 一方、元の世界でも、僕が不在の間に事件が起きていた。
 ついさっき、黒沢が並行宇宙と同じように紗耶香を襲ったらしい。しかしすんでのところで、「僕」が身を挺して彼女を庇い、守ったそうだ。
「ちょっと待て。僕は今まで並行宇宙へ行ってたじゃないか。それが何で元の世界で……?」
『並行宇宙への転送と言っても、肉体を送り込むわけではない。あくまで君の精神を同調させるに過ぎないからだ』
 神の言うには、今しがたおこなった「転送」は、「『並行宇宙の僕』に『元の世界の僕』の精神を繋げ、相手を『元の世界の僕』として行動させる」――というものだった。
 簡単に言うなら、「並行宇宙の僕」は、一時的に「元の世界の僕」になっていたのだ。
 ……果たしてこの説明が簡単なのかどうか、僕には分からないけど。まあ、神がそう説明したのだから、僕にも他に言いようがない。
 ……ともあれ、こちらの世界の黒沢は、すでに逮捕された後だった。並行宇宙との間に時間のズレが生じているが、こういうことはよく起こるらしい。
『現象が伝播するに当たって、時間のズレは常に発生し得る。……さあ、次の宇宙へ行く時間だ』
 神はすぐに、僕に転送装置を向けた。
 せめて元の世界でも紗耶香と話をさせてほしかった……と抗議する暇もなく、僕は二つ目の並行宇宙へと、送られていった。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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