『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第8回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第8回になります。
 第3章-1。
 紗耶香の身に起きる新たな死を回避するため、二つ目の並行宇宙へ旅立った勇輝。
 そこで待っていたのは、どこかぎこちない態度の紗耶香だった……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

◆第3章 二番目の宇宙 物語に耽る君は、少しだけ僕と近しく――

 二つ目の並行宇宙は、学校の資料室から始まった。
 しかも僕は今、紗耶香と二人きりでいる。ちょうど二人で、次の授業に使う資料を取りに来ているところのようだ。
 ……が、なぜか紗耶香の態度がぎこちない。
 僕は理由を考えた。並行宇宙で起きた出来事は、別の並行宇宙にも影響する。ということは……。
「……もしかして、この世界でもノートのことがばれてる……?」 
 僕がそう呟くと同時に、紗耶香の顔色が目に見えて変わった。図星だ。
 しかし、この推理は半分正解で、半分不正解だった。
 紗耶香は僕に、繕うように言った。
「ごめんなさい。べつに、大星くんに気があってあんなものを書いたとか、そういうわけじゃないの。あくまでキャストとして選んだだけだから……。だからその、誤解しないでね?」
 つまり――この並行宇宙でノートを書いていたのは、紗耶香の方だったのだ。

 ここは、僕と紗耶香が逆の立ち位置にいる世界。
 紗耶香は、自分がヒロインの物語をノートに書き綴っていた。そのヒロインを守るヒーロー役が、他ならぬ僕だった――というわけだ。
 で、そのノートの存在が僕にばれてしまったところなども含めて、立場が逆になっている。
 享子と優衣がからかう相手も、ノートを書いていた紗耶香の方だ。二人はすっかり、紗耶香が僕に気があるものだと、思い込んでいた。
 ……まあ、これは元の世界でも同じことだ。あんなノートを見れば、誰だって誤解する。
「もう、違うってば。そんなんじゃないんだから……」
 友人達のからかいに、紗耶香がいちいち否定する。僕はその言葉を聞くたびに、なぜかモヤッとした気持ちを覚えてしまう。
 もし――もし元の世界で、僕が同じように紗耶香への恋心を否定したら……。
 彼女も同じようにモヤッとするのだろうか。
 きっと、するに違いない。だから、今の僕に文句を言う資格はない。
 ……それでも、否定されるたびにやるせなさが付きまとう。

 そう、この時すでに僕は――大星勇輝は、天永紗耶香に恋をしていた。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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