『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第10回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第10回になります。
 第3章-3。
 ついに第二の並行宇宙で発生した紗耶香の死。
 勇輝は迷わず覚醒し、その力を揮うが……?

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

 僕は迷わず力を覚醒させていた。
 黒沢が紗耶香を殺しに来たのは明らかだった。僕が力を揮うのに、ためらいはなかった。
 人外の力にものを言わせて、すぐさま黒沢をねじ伏せた。
 騒ぎを聞きつけて人が寄ってくる。僕は元の姿に戻ると、ノックアウトした黒沢を警察に任せ、紗耶香とともにその場を離れた。
 これで二つ目のミッション終了。あとは元の世界へ戻るだけだが――。
「……あれ、戻れない?」
 そう、なぜか戻れない。神が帰還させてくれない。そこへ携帯電話が鳴る。神からだ。
『天永紗耶香の死亡予定時刻まで、あと二時間十二分ある。今の男の犯行は、君が最初に訪れた並行宇宙での死が、時間をずらして伝播してきたに過ぎない。しかし、これはすでに解決済みだ。君が何もせずとも、回避は為されていたはずだ』
「……つまり、僕は天永さんにヒーローバレした状態で、あと二時間十二分過ごさなきゃならない、と?」
 それは何というか、実に恥ずかしい。
 僕は気まずく思いながらも、紗耶香に事情を説明する。
「僕は一時的に力を得たんだ。これから二時間と十二分後に訪れる、天永さんの死を回避するために」
 べつに意図したわけでもないのに、妙にかっこいい台詞回しになってしまう。だが紗耶香はそれを聞くと、戸惑いながらも微笑んでくれた。
「……現実になっちゃった。ノートのお話……」
 頬を紅潮させて、嬉しそうにそう呟きながら。

「あと、紗耶香でいいよ。……大星くん、じゃなくって――勇輝」
 僕らの距離が縮まった瞬間だった。

   *

 僕らは問題の時刻が来るまで、一緒にいることにした。
「本当はうちに帰りたいんだけど、いきなり男子なんか連れてったら、パパが激昂するから」
 紗耶香にそう言われ、二人で近場の公園を訪れた。
 僕らの会話は弾んだ。何より「ノートに物語を書く」という共通の趣味があるのが、強かった。
 まるでデートしてるみたいだ。いや、いっそ本当にデートを申し込んでみようか……。
 今のいい雰囲気に流されるように、僕はそれを思いついた。
 ――並行宇宙で起きたことは、元の世界にも反映される。つまりここでデートの約束を取り付ければ、元の世界でも……。
「紗耶香、もしよかったら……今度一緒に――」
 初めてのことで舌を噛みそうになりながらも、僕は紗耶香を誘ってみた。
「……うん」
 紗耶香は顔を赤らめながら頷いた。
 そこで――二時間と十二分後がやってきた。

 それは、一台の暴走トラックだった。
 道路を外れ、公園の柵を突き破り、こちらに突っ込んでくる。その迫る先には、もちろん紗耶香がいる。
 僕はとっさに紗耶香を押しのけ、正面に立った。
 覚醒する。同時にトラックが間近に迫る。
 そして――。

 全身に衝撃が走った。
 弾かれたトラックが横転する。だが同時に僕の体もまた、強く吹き飛んでいた。
 ……その直後。僕の目の前は真っ暗になった。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

お知らせ
最新記事
カテゴリ
ユーザータグ

モンスター 映画 告知 妖怪 妄想少女 モンスターハンター リバース;エンド 異世界妖怪サモナー アニメ 多元宇宙 ポケットモンスター 二次元名鑑 闇堕ち騎士がダンジョン始めました!! 小説雑感 PSP マキゾエホリック ウルトラマン ボードゲーム 世紀末オカルト学院 DS 3DS カクヨム 小説 相棒 

検索フォーム
リンク
月別アーカイブ