『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第11回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第11回になります。
 第4章-1。
 元の世界に戻ってきた勇輝は、自分が自転車の事故で負傷していることを知る。
 果たして並行宇宙の「勇輝」は無事だったのか……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

◆第4章 三番目の宇宙 君は僕の病室で、すでに唇を重ね――

『おはよう、気がついたかね?』
 目を覚ますと、僕は自宅の布団の中にいた。
 すぐ横には神が座っている。和室の中にパワードスーツ一式という光景がシュールでならない。
「……ここは、元の世界か」
『そうだ。君は先ほど、天永紗耶香が自転車に衝突しそうになったところを庇い、負傷したのだ』
 言われてみれば、なるほど、左足に包帯が巻かれている。並行宇宙での暴走トラックは、元の世界では、かなりスケールダウンしていた。
 いや、スケールダウン結構。幸い挫いただけで、大きな怪我ではないようだ。
「……なあ、それより、今行った並行宇宙のことだけど……」
 僕は顔を曇らせながら神に訊ねた。
 あの後――トラックから紗耶香を庇った後、「あの世界の僕」はどうなってしまったのだろうか。
 到底無事とは思えないのだが……。
『心配はいらない。君がこの宇宙において、同じ要因で――つまりこの世界では自転車に激突し、その上で――死んでない以上、あちらの宇宙でも君の命は助かったと見ていいだろう』
「本当か? それならいいんだけど……」
『しかし無茶をしてもらっては困る。君にはあと二度、並行宇宙へ行ってもらわねばならないのだ。……自らを犠牲にするような真似だけは避けたまえ』
「紗耶香を助けるのを人任せにしているやつに、言われたくはないな」
 僕は軽く皮肉で返したが、神は何も言わなかった。
 代わりに、重ねるようにもう一つ、苦言を呈してきた。
『それと――天永紗耶香の感情を意図的に刺激してはならない』

 それはどうやら、僕が紗耶香をデートに誘ったことを言っているらしい。
『君と天永紗耶香の関係に、プラス面での変化を生じさせてはならない。これは重要なことだ』
「つまり、僕が天永さんと親密になっちゃダメってことか? でもお前は、僕と天永さんを結んでやるって……」
『それは、全四回に渡るミッションがすべて成功に終わった後の話だ。今はまだ、天永紗耶香の感情に影響を及ぼしてはならない』
 神はフルフェイスのヘルメットを微動だにさせず、冷たい電子音声で言い切った。
 そして『少し休憩を挟もう』と呟き、部屋を出ていった。

 ……僕はようやく息をついた。
 神の言いたいことが分からない。そもそも、あいつはいろいろと不自然すぎるのだ。
「だいたい、どうしてあいつは紗耶香を助けようとしてるんだ?」
 これまたさっぱり分からない話だ。大前提からしてこうなのだから、あんなやつ、信用できるわけがない。
 ……僕が不満を覚えていると、二十分ほどして、神が戻ってきた。
 休憩は終わりらしい。神はすぐさま転送装置を取り出した。早くも三つ目の並行宇宙へ行かされるようだ。
『次の並行宇宙は、やや特殊だ。天永紗耶香の死は五分後にやってくる』
「おい、待ってくれ! なんでそんな早く――」
『時間がない。すぐ終わらせてくれ』
 神はそう言って、転送装置を僕に向けた。
 なんで休憩させたんだ、というツッコミは口にする暇がなかった。

   *

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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