『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第12回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第12回になります。
 第4章-2。
 少しの休憩を挟み、続けて三番目の並行宇宙へ転送された勇輝。
 そこで待っていた紗耶香の姿に、勇輝は思わず目を丸くする……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

 ……僕は病院の個室にいた。右足を骨折し、ベッドに寝かされた状態で。
 そしてすぐそばには、天永紗耶香がいる。妙に裾の長い上着を着て。
「せっかく週末はデートの予定だったのに、これじゃ行けないね」
「デート? ……そうか、さっきの約束の影響が、この世界にも及んでいるのか」
 僕がそう呟くのと――紗耶香が着ていた上着を脱ぐのと、同時だった。
 彼女の姿が変わった。何というか……非常識な姿に。
「さ、紗耶香、それはっ?」
「『魔法少女ピクシーピンク』のコスだよ? 勇輝がどうしても着てほしいって土下座するもんだから、週末のために用意してたんだけど……」
 知らない。ていうか、この格好でデートさせるつもりだったのか。……ということは、この世界の僕は何なんだ。変態か?
「でも週末行けなくなっちゃったから……。だから今、ね?」
 紗耶香はそう言って、悪戯っぽく微笑んだ。
 正直、眩しすぎて目のやり場に困る。特に、いろいろ見えそうなミニスカートの辺りが……。
 僕がそう思って、目を逸らそうとした時だ。
 不意に紗耶香が笑顔のまま、僕の上半身にのしかかってきた。
 顔が、近い……?

「ちょっと待って紗耶香! いきなりそういうのは! 僕も心の準備が!」
「どうしたの、勇輝? キスなら毎日してるのに」
「ま、毎日って……」
 この世界では、そうなのか?
「さっきも一回したでしょ?」
「さっきっていつ!」
「えっと……十分前ぐらい?」
 何てことだ。休憩なんかしてる場合じゃなかった。
「それに……週末にはお泊まりもしたいって、そうお願いしてきたのは勇輝の方でしょ?」
「お泊まり……?」
「『紗耶香、僕もうキスだけじゃ我慢できないんだ』って……。やだもう、勇輝のエッチ♪」
 紗耶香は恥ずかしげに身をくねらせると、もう一度僕に顔を寄せてくる。
 そして――。

 唇が触れ合おうとした瞬間。突如、病室のドアがバンッ! と開け放たれた。
 立っていたのは深山享子だ。手に包丁を持って、まさに憤怒の形相で。
「二人ともナウ死ね! 紗耶香たんは私のものなんだーっ!」
「お前が死の要因なのかよ!」
 もはやツッコミにも似た悲鳴で、僕は力を覚醒させた。

 ……いささかオーバーキル気味ではあったが、ともかく享子は反省してくれた。
 こうして三番目の宇宙でも、天永紗耶香の死は無事回避された。

   *

 そして僕は、元の世界に戻ってきた。
 当然時間はそれほど経ってない。僕は相変わらず、部屋に神と二人きりでいる。
『ご苦労だった。今日はここまでにしておこう。次のミッションは、明日の正午から始まる。四番目の並行宇宙は、今までに比べてかなりハードだ。時間が来るまで体を休めておきたまえ』
 言いたいことだけ言って、神はさっさと去っていった。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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