『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第16回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第16回になります。
 第5章-2。
 並行宇宙で勇輝が托されたのは、天永紗耶香という名の人工知能だった。
 その紗耶香を狙い、「やつら」が迫る……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

 紗耶香とともに町を行く僕を、最初に発見したのは、黒沢だった。
 この世界の彼は人間ではなかった。高速で移動する僕を、人外のスピードで追ってくる。「やつら」の仲間なのだ。
『勇輝、次の角を右折して。トラップに掛けるの』
 紗耶香が僕を導く。彼女が示したポイントには、レジスタンスの設置した罠が仕掛けられている。「やつら」の特殊な生体組織に反応し、作動する仕組みだ。
 僕は紗耶香の言葉に従い、黒沢を罠にはめた。彼は飛んできた銃弾に撃たれ、その場に転がった。
 ……死んだわけではない。やつは頭を撃ち抜かれながら、ピンピンしている。ただ、僕らを追うのを諦めただけだ。
 ともあれ、これでひとまず安心……と思いきや。
『――見つけたぞ、天永紗耶香』
 僕の目の前に、新たな「やつら」の仲間が現れた。
 僕と同じようなパワードスーツに身を包み、トラップのセンサーを無効化している。顔はやはりフルフェイスで見えない。しかし、声に聞き覚えがあった。
「……まさか、優衣なのか?」
 そう言えば、こいつは悪役だった――。
 僕がノートの中に描いていた滝野優衣の第一印象が、ここで現実になってしまった。

 優衣の攻撃は熾烈だった。
 彼女のスピードは、スーツを着けた僕と互角。しかしそれに加えて、相手は次々と銃弾を放ってくる。
 何発か掠った。スーツのおかげで体へのダメージはないが、ジェットユニットの一部が損傷し、機動力が落ちていく。
 それでも「紗耶香を守らなければ」という意志が、僕を奮い立たせたのだろう。
 ほとんどボロボロになったスーツを引きずり――僕はどうにか、目的の地点に辿り着いた。

 そこは、やはり地下シェルター内の施設だった。
 扉は固く閉ざされている。しかし紗耶香の指示に従って、彼女を扉横のコンソールにかざすと、自動的にロックが解除された。
 ……中は無人だった。ただその中央に、途方もなく巨大な物体が安置されていた。
 周囲をいくつもの装甲で覆われ、その全体像は見えない。しかし紗耶香は、これこそが「やつら」の船を落とす鍵だと言う。
『享子のパパが残してくれた、最後の希望――。さあ勇輝、これに私をセットして』
 巨大な物体の表面、ごく目立たない一箇所に、小さな挿し込み口があった。紗耶香の姿が浮かぶ機械は、ちょうどこの形に合う。
 僕は言われるままに、紗耶香を挿し込んだ。
 ただちにプログラムが起動し、装甲が外されていく。そして――中から現れた本体を見た途端、僕は息を呑んだ。
 天を貫かんばかりにそびえ立つ、巨大な円筒状の鉄塊――。
 そう、それは途方もなく大きな、ミサイルだった。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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