『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第18回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第18回になります。
 第6章-1。
 並行宇宙から帰還した勇輝が見たもの――。それは、転送先で紗耶香を襲い勇輝に倒された優衣の、変わり果てた姿だった。
 しかし……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

◆第6章 零番目の宇宙 それは僕と君が過ごしていた、いつまでも平凡で有り触れた――

 滝野優衣はすでに、僕の目の前で事切れているように見えた。
「……何だよこれ」
 僕は震える声で呻く。今僕の手には、大ぶりの石が握られている。血の付いた石が……。
「僕が、やったのか……?」
 ――僕の意識が並行宇宙へ行っている間に、元の世界に残された僕が、優衣を殺した……。
 そうとしか思えない。
 でも、なぜだ。なぜ僕が優衣を殺さなきゃならないんだ。
 並行宇宙でそうしたからか。あの出来事が、こちらの世界に伝播したからか。
『問題ない。君の働きのおかげで、天永紗耶香は生き延びることができた』
 神が無機質に答える。しかしその瞬間、僕は叫んでいた。
「生き延びた? どこかだよ! 死んだじゃないか! 僕の目の前で、僕の手で、ミサイルになって、紗耶香は……。それなのに何なんだよ。戻ってきたら優衣まで死んでて……。僕はいったい何をしたんだ! お前は――僕に何をさせたんだ!」
 もはや悲鳴だった。僕の悲鳴に、しかし神は何も言わない。
 だが――次の瞬間、異様なことが起きた。
「……まったく、痛いじゃないか、大星勇輝」
 優衣が立ち上がったのだ。パックリと割れた頭から、どす黒い血を流しながら。
 その顔に――邪悪な笑みを湛えながら。

「――逃げて、ゆーきくん!」
 不意に享子の叫びが聞こえた。僕が振り向くよりも先に、彼女は鉄パイプを手に、優衣を殴りつけていた。
「早く逃げて! 『やつら』が来てる!」
 吹っ飛ぶ優衣。しかしそこへ、もう一つの影が迫ってくる。
 黒沢だ。優衣と同じ、邪悪な笑みを浮かべている。それを享子が鉄パイプで迎え撃つ。
「ここは私が食い止めるから、早く!」
 享子が叫ぶと同時に、神が僕の手を掴んで走り出した。
 しかし中庭を抜け、校庭へ出たところで――僕は見た。

 オレンジ色の夕焼けを割り、突如空に現れた、巨大な物体を。
 平たく、丸い、円盤状の人工物を。
 世界を滅ぼす、「やつら」の船を――。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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