『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第19回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第19回になります。
 第6章-2。
 元の世界で勇輝が見たのは、到底信じられない光景だった。
 そして神の口から、驚くべき事実が語られる……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

「そんな馬鹿な……。ここは、元の世界じゃないってのかよ……」
 僕は思わずそう呟いた。
 今までのパターンから考えれば、僕はミッションを終えれば、すぐ元の世界に戻ってきていた。しかし……ここは違う。この世界には、「やつら」がいる。
「おい、どうなってるんだよ。ここはいったい……」
『――元の世界だ』
 だが神は無情にも、そう答えた。僕が十五年以上暮らしてきた、紛れもない「元の世界」だ、と。
「……そんなわけない。だって……あり得ないだろ! なんでこの世界に『やつら』がいるんだよ! なんで優衣がその仲間で、享子がそれと戦ってるんだよ! 絶対おかしいだろ!」
『絶対おかしい? 何の根拠があって、君はそう言っているのか』
「根拠も何もない! 僕の世界は常識に満ちた、平凡で平和な世界のはずなんだ!」
 しかし、そんな僕の叫びに、神は冷静に答えた。

『それは――君がそう思い込んでいただけだ』

 平凡で平和な世界なんて、あくまで先入観だけで成り立っていた幻に過ぎなかったのだ、と――。
 神は僕に、そう告げた。
 例えばまるで、あのノートに僕の先入観だけで描かれた、可憐なヒロインのように……。

『大星勇輝、私は今まで、四つの並行宇宙に君を送り込んだ。その中で――敢えてこの『元の世界』に一番近いものを挙げるとすれば、それは間違いなく、四番目の宇宙だ』
 ……それは、「やつら」という侵略者じみた存在によって壊滅した、異様な世界。
 天永紗耶香が、僕の姉でもガールフレンドでも恋人でもなく、電子頭脳だった世界。
『あの並行宇宙と、こちらの『元の世界』の間には、おおよそ一年間のズレがある。……あの世界の地球は、一年前に『やつら』に襲撃された。それまではこちらの世界と同じように、君の言う『平凡かつ平和』な世界でしかなかった……。それと同じことだ。こちらの世界は、一年のズレという時間軸の補正に従って、今これから襲撃される』
 ――平凡で平和な世界が、終わりを告げる。
 ――僕の、そして人類の前に「やつら」が現れた、この瞬間から。
「……そ、そんなこと、させるものか!」
 僕は、とっさに力を覚醒させようとした。
 いくつもの並行宇宙で使ってきたあの力で、「やつら」と戦うために。
 でも……そんな力は、どこにもなかった。
 そう、この世界の僕は――とても平凡で無力な、ただの高校生でしかなかった。

 僕は絶望に立ち尽くした。
 何をすればいいのか分からなかった。
 逃げるのか。戦うのか。享子を助けにいくのか。それとも、紗耶香を捜しにいくのか。
 頭が空白になったように働かない。
 ……だがそんな僕に、神は静かに告げた。
『心配するな、大星勇輝。この世界が滅ぶことはない。なぜなら――』
 そう、なぜなら――。

『――天永紗耶香の死は、君のおかげで、すでに回避されているのだから』

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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