『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』第24回

 連載記事『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』の第24回になります。
 もう一つのエピローグ。
 それは、ある世界で起きている、何かが少しだけ異なる物語……。

※こちらは、拙作『リバース;エンド』の初期プロットを、簡易小説として書き改めたものです。


 * * *

◆もう一つのエピローグ

「勇輝、この小説、何……?」
 紗耶香がそう言って僕にノートを返してきたのは、放課後の図書室でのことだった。
 犯人は享子だった。まったく、勝手に人の鞄をあさるなってのに……。いや、それよりも問題は紗耶香だ。
「勇輝って、えっと……私のこと……。これって、そういうことなの?」
 愛らしい顔を真っ赤に染めて、紗耶香はモジモジしている。
 それを見て、僕は同じように真っ赤になりながら、とりあえず近くにいる享子に叫んだ。
「こら享子、ニヤニヤしてないで、責任持ってフォローしろよ。ノート見せたのお前だろ」
「でもさゆーきくん、確かにノートを発見したのは私だけど、読みたいって言ったのは紗耶香ちゃんだよ? まあ、いーじゃん。どうせ減りも増えもしないものなんだから」
「発展性がないみたいなこと言うな」
「ていうか、紗耶香ちゃん爆死エンドってどうなの? それとも愛さえあれば許されるパターン?」
「や、やかましい」
 僕は軽く享子を睨み返すと、それから何か言い繕わなければと、急いで紗耶香の方に向き直った。
 その瞬間――不意に目が合った。
 すごく恥ずかしそうな……だけどちょっとだけ嬉しそうな、そんな顔を、僕らはお互いにしていた。

 ……ここは平和で平凡な世界。紗耶香がごく普通の高校生で、僕と恋に落ちていて。
 でももしかしたら、僕らがこんな風に過ごしていられるのは――どこかの並行宇宙で、僕のノートに書かれたような物語があったからかもしれない……なんて。

「ゆーきくん、妄想癖がオーバーヒートしてるよ?」
「やかましいってば」
 そんな僕と享子のやり取りを聞いて、紗耶香がクスリと微笑んだ。

   *

 とりあえずハプニングはあったものの――。
いつものように楽しい時間を過ごし、僕らは学校を後にした。
「それじゃ、また明日、勇輝」
 交差点で別れ際に、紗耶香が手を振る。
「あと勇輝……今夜、電話してもいい?」
 はにかみながらそう囁いた彼女に、「僕からするよ」と答え、僕は笑顔で手を振り返した。
 この幸せがいつまでも続いてほしいと、そう願いながら。

 一人になった僕は、いつものように、ひと気のない路地裏にやってきた。
 ここを通り抜ければ近道だ。しかしそんな時――不意に、僕の目の前に立ったやつがいた。
「――よお大星」
 邪悪な笑みを浮かべて立つ少女の名は、滝野優衣。この地球に降り立った、「やつら」の尖兵。
 そして彼女の使命は、「やつら」にとって大きな障害となる、僕を排除すること。
「決着をつけにきた。大星、今日こそお前を倒してやる」
「決着なら望むところさ。ただし――勝つのは僕だけどな」
 僕はいつものように不敵に笑ってみせると、この身に秘めた力を覚醒させた。

 そう、この世界は、とても平凡で平和だ。
 僕が守り続けている限り、絶対に――。


 (完)

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

お知らせ
最新記事
カテゴリ
ユーザータグ

モンスター 映画 告知 妖怪 妄想少女 モンスターハンター リバース;エンド 異世界妖怪サモナー アニメ 多元宇宙 ポケットモンスター 二次元名鑑 闇堕ち騎士がダンジョン始めました!! 小説雑感 PSP マキゾエホリック ウルトラマン ボードゲーム 世紀末オカルト学院 DS 3DS 相棒 カクヨム 小説 

検索フォーム
リンク
月別アーカイブ