『リバース;エンド』プロトタイプの公開を終えて

 年をまたいでの連載になりました、『宇宙は多元かつ並行につき、僕と君は恋をする。』につきまして。
 完結パートを投稿してから、やや間が空いてしまいましたが、ようやく抱えていたお仕事の方が一段落しましたので、ここで「あとがき」的なものなど綴らせていただきたいと思います。

 なお、ここから先は『宇宙は多元かつ並行につき(略)』のネタばらしの範囲に踏み込みますので、一度本編をお読みになった上で、ご覧いただければと思います。
(よろしければ『リバース;エンド』全2巻の方も押さえておいていただけると、なおありがたいです。)


「ある日突然、パラレルワールドを転々とする力を得てしまった主人公。そんな彼が片想いしているヒロインAは、行く先々の世界で、様々な形(例えば姉だったり、すでに恋人だったり)で現れる。主人公は毎回ヒロインAとの関係を進展させるが、そのたびに彼は次のパラレルワールドに飛ばされ、築き上げた関係はリセットされてしまう。しかしそんな中、主人公が訪れるパラレルワールドが、次第に危険な異世界じみたものに変わっていき……(以下考えてない)」

 今回ご覧いただいたプロトタイプは、まず基盤として、こんな発想が下敷きになりました。
 もちろんあくまで発想ですので、ここからいくつもの肉付けがおこなわれています。

・なぜ主人公はパラレルワールドへ行けるのか。
 →導き役である「神」がいる。

・「神」は主人公に何をさせたい?
 →月並みだけど、ヒロインの死を回避する。

・じゃあ「神」の正体は何者なのか。
 →○○○○だとしたら、ヒロインを助けようとした理由も納得が行く。

・納得はともかく、それはドラマチックでも何でもない。
 →じゃあ○○を○○ためってことで。

 ……とまあ、そんな肉付け作業を頭の中でボチボチとおこないまして。
 あとは細かい整合性やらなんやらを加えていったら、こうなった、という感じです。
 その結果が、一昔前のセカイ系SFそのもので、なおかつある種ミステリー的な展開になっている……というのは、ひとえに私自身の趣味が原因でしょう。
 信じていた世界の崩壊。無力さを突きつけられる主人公。そして、ヒロインとの切ない別れ――。この辺も全部趣味です。ええ、趣味の塊みたいな作品です。

 ちなみに、藤子・F・不二雄先生の作品っぽい雰囲気も、多少意識しています(上手く反映できているかどうかはさて置き)。

 もっとも、これが「ライトノベルとして」実際に製品化されるに当たって、大幅な内容改変が必要となったのは、言うまでもありません。
 その改変を一つ一つ挙げていってもきりがありませんので、ここでは細かくは書きません。もしご興味とお時間のあるかたは、改めて読み比べていただければ幸いです。


 ただ、ここで明言させていただきたいことがあります。
 それは、「主人公の幼さ」と、「ラストにおけるヒロインとの別れ」についてです。

 製品版での主人公のイラストが非常にかっこいいので何ですが、実はこの主人公、非常に幼い性格をしています。
 プロトタイプの方ではそれが顕著でした。製品版では、実はこの部分でダメ出しをいただきまして、改稿段階でそこそこ大人びさせています。
 しかし、やはり私が目指したいと考えていたのは、「幼い主人公」でした。
 もちろんそこには、ジュブナイル的な要素を出したかったからという理由もありました。
 しかしもう一つ大事なのは、「主人公を成長させる」という目的があったからです。

「頭の中で思いついた空想が実現化し、自分の思いどおりになる世界を手に入れて高揚する主人公。しかし現実世界での無力さが浮き彫りになった時、彼は初めて挫折を経験し、ヒロインとの別れを迎える――」

 これはいわゆる「鬱展開」と呼ばれるものかもしれません。
 しかし私自身は上の展開について、べつに読後感を最悪にしてやろうとか、そういう悪意を込める意図は一切ありませんでした(いや、少なくともプロトタイプでは)。

 そもそも、このプロトタイプにあるような「挫折や悲恋を通して主人公が成長する」という話を、私は決して「鬱展開」だとは思っていません。
 べつに読後感を最悪にするための読み物ではないわけです。
 あくまでほろ苦さや切なさを追体験し、主人公と一緒に心の成長を味わうのが目的の物語である――と考えています。

 もちろん読者の中には、「現実にある苦労を、物語の中でまで味わいたくない」というご意見をお持ちのかたも、多いかと思われます。
 でも、ぶっちゃけあれですよ。現実の挫折や失恋なんて、美しさも心の成長もへったくれもありませんよ。
 せいぜいもがき苦しんで心の病気になったり、早く忘れたいのに思い出しちゃぁ絶叫したり、そんなものです。
 なので、現実にある苦しみを「いい話」に転換できるタイプの小説は、絶対に必要だと思うのです(真顔)。

 実のところ、この手の要素が昨今のライトノベル界で敬遠されているのは、重々承知です。
 それでも「誰得シリアス」なんて言わずに。
 そして「鬱展開」だなんて十把一絡げに扱わずに。
 今一度、この手の成長物語にも、目を向けていただければと思います。


 さて、そろそろこのあとがきも終わりにしようと思います。

 実は今回のプロトタイプとは別に、製品版とを繋ぐミッシングリンクみたいなプロットも存在していたりするのですが……。
 話に整合性も何もない上に、無駄に濃密なので、原稿に起こす労力が凄まじいのです。
 なのでお見せする機会が訪れるかどうかは、まだちょっと分かりません。
 まあ、もしそんな時が巡ってきましたら、ぜひ。

 最後になりましたが、ここまでご興味を持ってお読みくださったすべての皆様へ、謝辞をば。
 本当にありがとうございました。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

tag : リバース;エンド 多元宇宙

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