怪物映画レビュー 『キャビン』

原題:THE CABIN IN THE WOODS
2012年・アメリカ

 森の中に建つ古い別荘に出かけた五人の若者達。彼らがその地下室で見つけた日記には、ある狂った家族の不気味な記録が残されていた。しかもその日記に書かれたラテン語の呪文を読み上げた瞬間から、森の中にゾンビの一家が蘇り、若者達を襲い始める――。
 ……という展開を地下から密かに演出している、謎の組織がいた。彼らは地下にある管理施設から様々な手を使って、若者達をホラーな物語に引きずり込んでいく。若者達はガスで判断力を狂わされ、あるいは発情させられて、さながら「よくあるホラー映画の登場人物」のような間抜けな行動をとり、次々と命を落としていく。
 強固なバリアーで囲われた森。ランダムに選ばれる登場怪物。そして、殺戮が映画のようにモニターに映し出される監管理施設……。果たして組織は何のために、このような大がかりな仕掛けを用意したのか。
 ゾンビが殺戮に成功し、祝杯を挙げる組織の人間達。だがその時、思わぬ事態が起きて……。

(以下思いっきりネタバレします。ご注意。)


 もし世にある「ホラー映画の中の出来事」が実際に起きていて、しかもそれが、何者かによって巧妙に仕組まれたものだったとしたら――?
 おそらくそんな発想から生まれたであろうこの作品。言ってしまえば「ホラーマニアのために作られたホラーパロディー」の一種なんですが、この映画がただのありがちなメタで終わらないのは、祝杯シーンの直後から始まる「後半」の展開があってこそではないでしょうか。

 ポイントの一つ目は、組織の目的。彼らはいったいなぜ、こんなホラーな世界を創造し、犠牲者を生み出してきたのか。
 中盤での彼らの台詞から、どうやらこのショーを楽しんでいる「客」がいるらしいというのは何となく分かります。ということは、実はデスゲームの一種なのか……と思いきや。問題の「客」はさらに地下の方にいて、喜ぶと地鳴りで応えるという……って、おいこいつ人間じゃねぇぞ
 で、その正体が終盤になって明らかにされます。……明らかにされるのはいいんですが、すでに途中で「古きもの」って呼ばれちゃってるんで、まあ、それが正体です。ホラー好きなら、何のことかは分かりますね。
 しかし、まさかそこに絡めてくるとは思いませんでした。ともすればメタホラーで終わってしまうストーリーに、きちんとした(?)ホラー設定を繋げて地盤を固め、お約束どおり世界の破滅で終わらせる……というこの脚本。まあ強引っちゃあ強引ですが、それまでの滅茶苦茶な流れがあってこそ、すんなり受け入れられてしまうのが恐いほどです。
 ただ欲を言えば、最後は巨大な手じゃなくて触手を出すべきだったんじゃ……と思わなくもないです。はい。

 で、それ以上に嬉しかったポイント二つ目。
 真相と破滅が描かれるクライマックスよりも少し前。死の遊戯を仕掛けてきた組織に対して主人公側が反撃を開始する……ってのは、これもよくあるデスゲーム作品と一緒と言えば一緒なんですが、その反撃方法が実に痛快。
 犠牲者を血祭りに上げるために用意されていたホラームービー・モンスター達を一気に開放し、地下施設で大暴れさせるってんですから、これは「古きもの」以上のサプライズパーティー。ゾンビに狼男、大蛇にブロブ、殺人鬼に和風幽霊に『ヘル・レイザー』のアイツっぽいやつ……などなど。古今東西、垣根を越えての一大スプラッターが展開される様は、なんて言うかもう、モンスター好きへの最高のご褒美なんじゃないでしょうか。

 そんなわけで、非常に満足度の高い作品だったと思います。
 ところで前半の、登場怪物を決める一連の流れ。まるでボードゲームの『丘の上の裏切者の館』のようでした。たぶん『キャビン』が気に入った人は、あのゲームも楽しめるはず。

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : 映画 モンスター

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