怪物映画レビュー 『シャークネード』

原題:SHARKNADO
2013年・アメリカ

 冒頭、嵐の海でサメの群れを追う漁船。その船室では船長が、アジア系ビジネスマンにフカヒレスープを試食させた上で銃を突きつけ、フカヒレ売買の商談を殺伐と交わしている。
俺「いったい何なんだこの殺伐としたビジネスは。密漁船ってことなのか? つーかこのビジネスマンは日本人っぽい格好だけど、そういう設定なのか? でもフカヒレ買うのは中国人だし、ってことは中国人なんだろうか……。まあいい。とにかくこのアクの強そうな船長は、今後ストーリーに絡んできそうだから、要チェックだな!」
 ……とこちらが勘繰ってる間に、そこへハリケーンが船を直撃。そして舞い上げられたサメの群れが、次々と乗組員に食らいつく! 中国人も船長も、全員死亡。
 でもってもちろん、この密漁船は本編には全然絡まず。
 そんな不穏な出だしとともに、このバカ映画は幕を開けたのでした。

※長くなるので、本編の紹介は続きから。


 洋上をカリフォルニアに向けて突き進む、今までにない規模の巨大ハリケーン。そのハリケーンに追われるようにして、人食いザメの大群がビーチに押し寄せてきた。お決まりのビーチパニックを消化しつつ、海辺でバーを経営しているサーファーオヤジな主人公の勇敢ぶりが視聴者にすり込まれたところで、今度は上陸してきたハリケーンがビーチを直撃する。
「嵐が来てる。みんな家に帰れ。俺はここに残って店を守る!」
 主人公の言葉にしぶしぶ店を引き上げていく客達。しかし主人公の親友と、馴染み客である飲んだくれオヤジ、そして従業員の若いねーちゃんは、主人公と一緒に店に残ることを決意。なんかいきなり最終決戦の雰囲気。

 と、そこへ突然窓を突き破り、巨大なサメが店に突入してくる!

 おいこら、いきなり笑かすな。
 そして主人公達は「武器を探せ!」と、もうすでにサメがビュンビュンすっ飛んでくること前提で話を進めだす。その一方で、風に煽られた観覧車がゴロゴロ転がって人を轢き潰したりなんかして、とにかく町は大パニックに。
 そんなこんなで、店を嵐で失った主人公。彼が続いて心配するのは、別れた妻と二人の子供達のことだ。「あいつらを連れて内陸へ避難しないと!」と感じた主人公は、さっそく店に残った仲間達とパーティーを組んで、浸水した道路を車で向かっていく。
 だがその道路にはサメの大群が! ……そう、ハリケーンによって起こった大波によって、サメの群れが上陸。浸水した道路を伝い、町中を泳ぎ始めていたのだ。
 路肩の溝みたいな場所を悠々と泳いでいる、明らかに縮尺の狂ったサメの大群。なんかコバンザメとか付いてるやつまでいるんですけど。あ、普通に野生のサメの水中映像使ったからですか。
 そのうちにハイウェイを沈ませるほどの大波なんかも来て、もうメチャクチャ。でもって当然のごとくハイウェイに降ってくるサメ。その中で仲間の一人、いい味出してた飲んだくれオヤジが、サメに食われて死亡。
 そんな尊い犠牲を払いつつ、ようやく家族のもとに辿り着けば、そこには妻の今の恋人であるチャラ夫がいて、すげー見下した態度で主人公を出迎えてくれる。まあ、こいつは直後、家に押し寄せてきたサメに速攻で食われるので、かなりザマァなんですが。
 とにかく辛くも家を脱出する一同。同時に家の内部から大量の水が吹き出し、家崩壊。この水どこから湧いたんだ。下水道か?

 さて、家族が次に向かうのは、航空学校にいる息子のもと。途中でスクールバスに閉じ込められた子供達を、体を張って救助したり、風ですっ飛んできたハリウッドの看板を超回避したりしていると、続いていよいよタイトルにもある巨大竜巻が出現。しかも三つ。もちろんどれもサメ満載。
 そのうちに頭上から降ってきたサメに車を壊された主人公達は、乗り物をニトロエンジン搭載の撮影用レンタカーに切り替え、ようやく空港に到着する。一つ目の竜巻の直撃を根性で乗り切り、ヘリで脱出しようとするが、あいにく全員は乗れない。
 こうなったら竜巻を爆弾で吹き飛ばすしかない! ってことで、息子とヒロインが二人でヘリに乗り、サメ満載の竜巻に挑むことに。その援護を務めるのは、もちろん主人公。空を飛んでへりに向かってくるサメは、地上から拳銃で狙撃! この強風の中、高空のサメを拳銃の弾丸一発で仕留める主人公、ちょっとハイスペックすぎるだろ……と思っていたら、今度は降ってきたサメをチェーンソーでぶった切る! やだ惚れちゃう。
 しかし主人公の奮闘を嘲笑うかのように、親友が死亡。ヘリも三つ目の竜巻を吹き飛ばそうとしたところで、サメに食らいつかれ、落ちたヒロインが空中で丸呑みにされてしまう。
 かくなる上は最後の手段とばかりに、主人公は単身、ニトロレンタに乗って竜巻に特攻! そこには親友が残してくれた、お手製の大型爆弾が! そして主人公は、ギリギリで車からダイブし、車のみを竜巻に飛び込ませ、見事吹き飛ばすことに成功したのだった。
 ……だが、これだけでは終わらない。竜巻が消えたことで、飛ぶ力を失ったサメが次々と地上に降り注ぐ! 主人公に駆け寄ろうとした娘の頭上にも、巨大なサメが一匹――。
 主人公はとっさに娘を突き飛ばすと、チェーンソーを回し、降ってくるサメに向かって突撃! その巨大な口の中に突入!
 食われたかと思いきや、サメの体内から腹を切り裂いて脱出!
 ついでに腹の中にいたヒロインも助け出したぜ! って、同じサメかよっ!
 そんなこんなでハッピーエンドでめでたしめでたし。あ、エンドロールだ……って、おい何だよこの「SHARK! SHARK!」とか元気に叫んでる歌詞は!  まさかの『シャークネード』専用テーマソングか!
「GO! GO! GO! GO! GO GO GO! ナントカカントカ SHARKNADO!」
 って、めっちゃノリノリですよ。
 いやぁ、最後まで笑わせてくれましたとさ。以上、本編紹介終わり。


 言ってしまえば、「竜巻でサメの大群が巻き上げられて町に降り注いだら大パニックじゃね?」という一発ネタ。それを真っ向から真剣に撮った結果がコレだったというわけです。
 実はこの作品、そのメチャクチャな内容ゆえに、放映(テレビムービーなので)直後から本国アメリカで凄まじい話題になり、異例の大ヒット映画になってしまったとのこと。しかしこの映画はネタ抜きにしても、充分面白いと感じました。
 そもそもキャッチーな一発ネタに対して、そこから導き出されるであろう面白いシチュエーションを(出来はどうあれ)しっかり映像として表現するというのは、エンタテイメント映画を制作する上で、とても大切な姿勢であると思うのです。それがどんなに馬鹿な内容であってもです。だからこの『シャークネード』とか、近年の『メガシャーク』シリーズなんかは、その点でとても好感が持てるわけです。
 ストーリー自体は、「よくあるディザスターパニックにサメを盛ってみました」といったところ。その地盤を固めるのが、キャラ付けのはっきりした登場人物と、「家族を守る」というブレない主軸。その中に派手な町崩壊やチェーンソープレイを仕込むからこそ、視聴者はこれを安心して見られるし、その上でゲラゲラ笑えるのだと思います。
 ええ、この手の映画は、完成度の高さなんか二の次でいいんですよ。べつに、これだけ強風が吹き荒れてるのに、草木はおろか、登場人物の誰一人として髪や服がなびいてなくたっていいんです。どうせ低予算です。こんなアホな企画に金出してくれるスポンサーなんてそうそういません。
 それでもスタッフが作品に対して真摯に向き合い、思いつく限りの愉快な映像を盛り込み、なんか素っ頓狂なテーマソングとかを作ってエンディングで垂れ流したりすれば、それは充分評価に値するわけです。ええ、べた褒めですとも。

 ちなみに、続編も作られる模様です。
 ……うむ、褒めはしたけど、本当に大丈夫なのかな、これ。

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : モンスター 映画

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