怪物映画レビュー 『マンドレイク 人喰い植物のえじき』

原題:MANDRAKE
2010年・アメリカ

 かつてスペインの侵攻を受けた南米のジャングル。そのどこかに今も残されているというスペイン人の貴重な短剣を手に入れるため、富豪に雇われた学者チームが現地に向かった。事前の情報もあって、苦も無く短剣を発見する一行。その剣は、すでに滅びたとされる部族の墓地の中、スペイン人の遺骨の胸に突き刺さる形で、棺に納められていた。
 柩の中には、警告と思われる象形文字が。だがその解読を待たないまま、早まったメンバーの一人が短剣を引き抜く。と、同時に異変が起きた。突如襲撃してくる人影の集団。さらにはジャングルの樹々が蔦を伸ばし、一行に襲いかかってくる。
 それは、密かに絶滅を免れていた部族と、彼らに守り神として崇められている不気味な巨大食肉植物だった。短剣によって封印されていたというその植物は、ひとたび目覚めれば、たとえ部族の者であろうとお構いなしに、見境なく人間を襲う。部族は植物を宥めるためか、よそ者を次々と捕らえては、やつに生け贄として捧げだした。
 やがて大地の中から、巨大な根っ子の塊のような怪物が姿を現す。一行は、短剣の力でこれを再び封印しようとするが、そこには思わぬ落とし穴が隠されていた……。


 魔女の薬とは何の関係もなく。
 植物型のモンスターが人間を襲う、ジャングル系パニックムービー。劇中に登場する怪物は、特に「マンドレイク」と呼ばれることはなく、実際の伝承とは無縁の存在でした。ただ、「伝承にあるマンドレイクを巨大モンスターとしてアレンジしたら、なるほど、こんな姿もアリだなー」と納得できるレベルのデザインではあります。そう考えると、全身像の登場シーンの短さが残念ですね。もっとじっくり見たかったです。
 なお設定面では、「独自の進化を遂げた食肉植物」という可能性が示唆される一方で、最終的には超常的存在としての側面が強調されていました。これは言ってしまえば、「封印を解かれて蘇った伝説の怪物」以外の何物でもなく、「禁を犯した側が非を認めて怪物を再び封印する」というストーリーも含めて、非常にオーソドックスな作りだったと言えます。
 映画としては、根っ子で簀巻きにされてからの人体ブッツリや、部族による大量殺戮など、派手な見所もちょくちょく挟まれてはいますが、全体的には小品といったところ。「えじき」なんて仰々しく付けた邦題に反して、それほどアクも強くなく、ダラッと見てダラッと終わるタイプの作品であったように思います。

 ……ただ何だかんだ言って、植物モンスターが登場する映画は、まだ「珍品枠」として、ひいき目に見てもいいような気がします。だからこの作品も、サメやエイリアンなんかに比べれば、それなりの変化球として受け入れることが可能なのではないでしょうか。
 まあ、模倣されるほどの過去作品がないってのが大きいのでしょうね。世界的成功を収めたレベルの植物モンスターって、なかなかいないように思うのですよ。トリフィドもオードリーもキラートマトもビオランテも、それこそエイリアンやドラキュラ、ジョーズやジェイソンのように「今でも世代を超えてイメージできる」域には達してないし、じゃあ今後そのレベルの新植物モンスターが誕生するかと言えば、(モンスターの粗製乱造が当たり前になった昨今では)それもかなり無理っぽいし。
 今後も植物モンスターは、「モンスター映画界における変わり種」という扱いを、それこそ宿命のように受け続けていくのでしょう。そんな気がしてなりません。

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : モンスター 映画

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