口に合わなかった夜

 ベストセラーだという、とある海外小説を読んだ。
 何とも感想に困る内容だった。

 ジャンルとしてはミステリーだ。ただ、情報の後出しが多すぎて、推理小説としてのフェア感には欠けている。
 二転三転する物語が読む手を進める。一方で、前半に起きる大事件が後半には何の影響も及ぼさないという、絶対に自分がやらないような構成が引っかかる。
 人物描写は非常に優れている。主人公は不快だが。
 帯も書評も大絶賛している。読んだ人は皆この本の内容に驚愕している。でも、ぶっちゃけそれほどでもない。
 っていうか、驚愕という点で言えば、国内ミステリーにもっと凄まじいのがいっぱいあるわけで。

 感想を強いられれば、普通でしたと言うしかない。
 書評を強いられれば、傑作だと言うだろうけど。

 まあ所詮ラノベ作家がクダ巻いたところで何がどうなるわけでも。


※追記
 思うに一番問題があったのは、カバーに書かれているあらすじではないだろうか。
 出版社が用意したこの本のあらすじは、「ある登場人物」に裏の顔が存在することを臭わせている。もちろん実際に裏の顔は存在するから、嘘ではない。嘘ではないが、これは絶対にあらすじで明かしてはいけない部分だったはずだ。
 しかしあらすじは容赦なく明かした。この物語における大きなキモを。それに加えて大逆転だの衝撃と感動だのと煽りまくるものだから、私は読む前から「つまりこれ以上の何かがあるんだな?」と期待してしまった。
 では、本当に期待どおりのものはあったか。
 実際のところ、その登場人物には、裏を覆す「もう一つの裏」が確かに存在した。それは物語の終盤に突きつけられ、確かに「なるほど」とはなった。ただはっきり言わせてもらえば、それは二時間ドラマによくあるような、大衆向けの真相でしかなかった。しかもその真相は、アンフェアな後出し情報に彩られることでようやく明らかになるのだ。そこにはもはや、あらすじで明かされた部分以上の感動はなく、逆に物語が一気に陳腐化したような気さえした。
 そう、衝撃などなかった。あらすじが先行したことで、衝撃は殺された。
 帯にはご丁寧に、未読の相手に展開を教えるなという旨のこと書かれていた。何だこれ。

 以上、あらすじどころかタイトルで読者を釣るのが日常化しているラノベ作家の駄文でした。

tag : 小説雑感

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