電子書籍について思うこと

 京極夏彦さんの新刊『死ねばいいのに』の電子書籍販売が、今朝のニュースで取り上げられていました。
 本を紙ではなくデータで扱うという手段は、ここ数年でかなり一般化したと思います。かく言う私自身も「マキゾエホリック」の短編を電子書籍として扱っていただいておりますし、やはり作家として、この話題は無視できるものではありません。
 そこでこの機会に、今一度電子書籍というものについて、自分の考えを挙げ連ねてみたいと思います。
 

◆画面のサイズ
 今回のニュースは、iPad対応というのが一つの目玉になっているようです。
 このiPad、何でも小型化する昨今にしては、大きな代物です。ちょっとしたノートぐらいはあります。しかし、だからこそ、「電子書籍を読む」という作業に最適と言える気がするのです。

 実は以前、担当編集者とウェブ小説について意見を交わした際に、私は「携帯電話で小説は読みにくいんじゃないか」と思いました。
 実際、あの小さな画面で大量のテキストを読むのは、かなり大変です。モバイルサイト用に書いた「妄想少女」の掌編は、カタカナ部分を半角にしたり、空白の行を挟んだりすることで、見づらさをクリアしていましたが、それは大元の原稿にはない部分。つまり、携帯電話の画面でテキストをスムーズに追わせるためには、本文そのものをいじる必要があったというわけです。
 結局「携帯電話の画面は、小説と相性が悪い」というのが、私の感想でした。

 何だかんだ言っても、本を読むのは生身の人間です。目で文字を拾い、脳で感じるわけです。だからこそ、小型化によるストレスを与えてはいけないと、私は思っています。
 そんな中で、ついにiPadです。この大きさ、ぜひとも応援したいところです。


◆購入者としてのメリット
 メリットその一。電子書籍は、場所を取りません。当たり前のことすぎて今さらな気もしますが、非常に重要な点です。
 世の読書家の方達は、日々、本の収納スペースに頭を悩ませていることと思います。特に、「売る」「捨てる」といった行為ができない方。できないくせに、やたらと「買う」方。そう、要するに私みたいな人ですよ。
 ええ、もう部屋がやばいのです。ここ数年内に買った本は、文字どおりすべて山積み。地震で死ねるという現状です。
 なので、電子書籍には大変注目しております。

 メリットその二。電子書籍は、いつでも購入が容易です。発売直後の時期を逃して入手困難になるという心配が、まずありません。「絶版」の文字に泣くこともなくなるわけです。

 メリットその三。紙の本に比べて、価格が安くなります。
 今回のニュースでも取り上げられていましたが、紙がデータとなることで物理的に圧縮される以上、それに伴い、出版社はいくつもの費用が削減できます。例えば、印刷代や輸送費などは、データのやり取りには不要ですから。
 したがって、電子書籍の定価は下がります。まあ、実際には出版社の裁量によるので、一概には言い切れませんが……。
 とにかくこの不景気の世の中、購入者にとってはありがたい話です。


◆データであるが故に
 いや、紙より脆いとかいう話ではなく。そもそも、電子書籍を扱っているショップでは、擬似的なバックアップ手段を用意してあるケースも多いですから、そこは問題ないのです。

 むしろ私が気に懸けているのは、データであるが故の「実態」の無さです。
 手元に紙がない。手でページを捲れない。表紙を撫でられない。重みを味わえない等々。まあ、こんなことでがっかりしている人間は、間違いなく本フェチなのでしょうが。 
 しかし私は本に限らず、コレクターでもあります。ですからこのご時世にもかかわらず、CDもゲームもダウンロードせずに、ソフトで購入します。なぜなら、プラスチックのケースや紙の歌詞カード、製本された取扱説明書――、そのすべてが、商品に絡んだアイテムの一環だからです。
 とにかく「形」として手に入れたい。それを思うと、なかなかデータのみで満足することができません。

 こんな病気の方は、私の他にもいらっしゃるのではないでしょうか。
 データはデータ、紙は紙ということで、片方が淘汰されてしまうような事態は避けてほしいと思います。


◆で、作家の収入は……?
 最後に、ちょっと生々しい話をさせてください。
 今後、新刊がデータで売られるケースは増えていくと思います。その場合、出版社から作家に支払われるモノには、やはり変化が生じるのでしょうか。
 そもそも「印税」という概念は成り立たなくなります。印税の計算式である【本の定価 × 発行部数 ×○○%】のうち、発行部数というものが存在しなくなるわけですから。
 さらに言えば、「重版がかかって夢の印税生活が~」なんてこともなくなるのではないでしょうか。なぜなら、データは一度作ってしまえば、それ一つで商品として事足りるわけで。紙の本と違って不足することがないのでは、重版もへったくれもありません。
 ちなみに「マキゾエ」の電子書籍の収入は、作品がダウンロードされた回数をもとに計算されています。もし近い将来、この方式が自分の新刊に適用されるとしたら……。
 餓死? いや、それは困りますから、ホント。

 実際のところ、この辺のリアルな処理はどうなっているのでしょう。作家の端くれとして、非常に気になりました。


 話は以上です。ポジティブな話からネガティブな話まで、思うままに書き綴ってみました。
 何か間違ったことを書いていたら、すみません。基本的に無知なので、私。
 

tag : 小説雑感

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