怪物映画レビュー 『フッテージ』

原題:Sinister
2012年・アメリカ

 かつて、ある殺人事件で警察が見落としていた真相を著書の中で暴き、一躍有名になったノンフィクション作家の男。彼の本はベストセラーとなり、彼の人生に輝かしい栄光をもたらした。だがその後彼が続けて出した事件本は、どれもいたずらに捜査を攪乱するばかりで売れず、次第に生活は苦しくなっていく。そこで男は一発逆転のチャンスをつかむべく、妻と子供二人を連れて、ある郊外の家に引っ越してきた。
 そこは、過去に一家が惨殺され、幼い娘が行方不明になるという事件が起きた、いわくつきの家だった。そう、この事件の謎を追い本にすることこそ、彼の目的なのだ。
 そんな家の屋根裏部屋で、男は奇妙な箱を見つける。そこには古い8ミリ映写機と、撮影年代の異なる何本かのフィルムが収まっていた。そのうちの一本を書斎で再生してみて、彼は息を呑んだ。フィルムに映っていたのは、例の一家惨殺事件の瞬間だったのだ。さらに他のフィルムにも、過去に起きた様々な一家惨殺事件の生々しい光景が記録されていた。
 撮影者は犯人に違いない……。男は映像を分析するうちに、すべての事件映像に二つの共通点を見つける。一つは、壁や車のボディに書かれた謎の紋章。そしてもう一つは、映像の中に一瞬映り込む、化け物じみた不気味な顔の男……。またこれらの事件では、共通して子供が一人行方不明になっていることも分かった。
 さらに事件を追ううちに、家の中で次第に不気味なことが起こり始める。誰もいないはずの屋根裏で何かが走り回り、映写機から外しておいたはずのフィルムが無人の書斎で勝手に再生されている。絵が好きな幼い娘は、知らないはずの一家殺人の様子を絵に描くようになり、息子の睡眠障害も酷くなっていく。妻と諍いも増えギスギスした空気の中、不気味なフィルムに追い詰められた男の前に、過去の事件で行方不明になっていた子供達が姿を現した。それはいずれも亡霊のようなおぞましい形相で……。


 一家惨殺のスナッフフィルムや呪いの連鎖など過激な要素を盛り込みながらも、どちらかといえば派手さよりも、地味だけど手堅く作られた印象を受けるホラー映画。
 暗闇と映写機のカタカタ音がもたらす心理的な恐怖演出が多く、それを主人公のやつれ顔がカバーするといった感じ。一方で、主人公が目を逸らした瞬間に静止画の中の怪人が動いたり、主人公の後ろを不気味メイクの子供達がうろうろしたりと、「志村後ろー!」みたいなツッコミが入りそうなシーンもちょこちょこあります。
 さらに昨今のオカルト系ホラー映画では定番となった「ラスト数分のどんでん返し」もしっかり用意されていて、一定の満足度は満たしてくれる感じでした。そういう意味では、過激さと地味さと馬鹿馬鹿しさがバランス良く配合された佳作と言えるでしょう。

 さて、一連の殺人事件を引き起こしていた元凶は、古代バビロニア時代に由来する古い邪神。それが殺人を8ミリで記録した上に、嫌がる主人公に延々と見せつけてくるというのは、なんか邪神というよりホームビデオ大好きなオッサンみたいな印象を受けてしまいますが。ご丁寧に、とっておきの「未公開エンディング」のフィルムまで用意している辺り、相当趣味に走っている邪神ですねこの人。
 もっとも解釈次第では、主人公に恐怖心を植えつけ、呪いの最後のトリガーとなる「ある行動」を起こさせることが目的とも取れるので、ホームビデオマニアなのも納得……できるのか?
 そんな邪神お手製の「未公開エンディング」の中では、子供達が消えるシーンが収録されていました。おそらく邦題の「フッテージ」(未編集フィルムの意味)はここに絡んでくるわけですが、この子供達の消え方がちょっと面白い。
 いや、特に何のエフェクトもなく、まるで素人の8ミリ特撮のように映像の中でパッと消えてしまうだけなんですけどね、これは逆に8ミリだからこそ生きる演出だなと。逆にここでエフェクトなんか入れたら嘘っぽくなるし、これで正解だと思いました。

 あと、主人公の境遇が見ていて辛かったよ。←職業病
 

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : 映画 モンスター

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