怪物映画レビュー 『ロスト・バケーション』

原題:The Shallows
2016年・アメリカ

 医者への道を志しながらも、母親を病気で亡くして無力感に囚われた医学生の少女。彼女が現実逃避もあって訪れたのは、かつて母も訪れたことのある、スペインの小さなサーフポイントだった。
 その美しいビーチは、地元の人がたまに来るだけで、ほぼ無人。彼女はさっそくサーフィンに興じる。同じくビーチを訪れていた地元の青年二人とも親しくなったが、夕方になって帰ろうとする彼らを見送り、彼女がもう一波を待ったのは、直前にあった父親からの説得の電話を忘れたかったからかもしれない。
 ひとり海の上を漂い、波を待つ少女。そこへイルカの群れが現れる。追いかけて沖の方へ行くと、波間に一頭のクジラの死骸が浮いていた。……この時、彼女はまだ気づいていなかった。一匹の巨大なサメが、穏やかなこの入り江に侵入していることを。
 突如サメの襲撃を受ける少女。足を噛まれおびただしい血を流し、どうにか逃げた先は小さな岩礁。上る際に毒性のサンゴを踏み、激痛が走る。自力で止血を施すも、今度は飢えと寒さ、そして壊死の危険が恐怖を後押しする。
 無人のビーチに助けは来ない。唯一の連絡手段である携帯電話は、水を隔てた砂浜の上。泳いで渡ろうにも、そこにはサメが待ち構えている……。
 一夜明けて再びビーチに来た青年二人もサメに食われた。絶望的な状況の中、満潮の時間がやってくる。岩礁が沈み始める。もはや彼女が死を先延ばしにする最後の手段は、沖合にあるブイの上まで泳ぎ切ることだけだ――。


 『シャークネード』や『メガ・シャーク』シリーズのおかげですっかりイロモノ感が定着した昨今のサメ映画界ですが、こちらの『ロスト・バケーション』は一転、サメに狙われた一人の女性のサバイバルを丁寧に描くという、どちらかと言えばリアル志向の一本。要するにワニ映画で言うところの『マンイーター』ポジションで、アニマルパニックではなく、シチュエーションホラーとしての側面が非常に強くなっています。
 こういうのは一概にどちらが上質かを判断することはできません。ロボットアニメに喩えるならスーパー派かリアル派かみたいなもので、結局は見る側の好き嫌いの差に落ち着くのが実情ですから、まず根本的にジャンルが違うのだと認識するべきでしょう。
 むしろ近年の作品で一番類似点が思い浮かぶのが、『ゼロ・グラビティ』。あちらは女性宇宙飛行士が宇宙服一つで宇宙空間に放り出されてサバイバルするという、コンセプト的にも映像的にも圧倒的なパワーを持った作品でした。『ロスト・バケーション』は言ってしまえばそれのサメ版で、徹底的にこだわった映像美も含めて、かなり通ずるところがあると思います。
 僕自身は、自分の中のサメ映画ベストは今のところ『ディープ・ブルー』のままなんで、やはり最終的に脳味噌が求めているのはスーパー派の方なんですが、『ロスト・バケーション』のようなリアル路線のサメ映画も、たまに箸休めとして出てくると新鮮で、いいものですね。

 ただ邦題は『ロスト・ウィークエンド』と似てて紛らわしいから、何とかしてほしい。

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : 映画 モンスター

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