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ゲゲゲの鬼太郎第6期・第7話『幽霊電車』 感想

 期待値上がりまくってた幽霊電車、見事にハードルクリア!
 ガチホラーを期待していたら、ガチガチホラーでした。このレベルのものを朝アニメで見られる時代になったことに感謝!


 ……でまあ、細かい感想は後で書くとして、まずは「ゆうれい電車」についての解説をば。
 「ゆうれい電車」は、少年マガジン連載時代の「鬼太郎」の中でも初期の方の作品で、ファンの間ではお馴染みの人気エピソードです。
 夜の盛り場で、鬼太郎とねずみ男が酔っ払い二人組と、「お化けがいるかいないか」で口論に。お化けを否定する酔っ払いは、その場で鬼太郎を殴ってしまいます。頭にコブができた鬼太郎は、「わるいけど、おなじ大きさのコブでおかえしさせてもらうぜ」と宣戦布告。その後酔っ払い二人組は、終電を逃してしまった駅で、多磨霊園行きの臨時電車に乗るのですが、そこにはとてつもない恐怖が待ち構えていた――。
 ……というのが大まかな内容です。
 少年誌での鬼太郎は「悪い妖怪と戦うヒーロー」という基本があるだけに、「鬼太郎が悪漢を恐怖させ懲らしめる」というこのエピソードは、かなり印象強く残ります。

 しかし実はこれ、ベースになった作品があるんです。
 それが、貸本時代の「墓場鬼太郎」。この中に「鬼太郎夜話」として括られる、複数巻に渡る大長編があるのですが、そのラストを締めくくる「顔の中の敵」というエピソードが、「ゆうれい電車」の下敷きになっています。
 このエピソードの中で、鬼太郎はある事情から人狼とねずみ男の恨みを買い、二人の謀略によって、海の底に沈められてしまいます。鬼太郎を亡き者にしたとほくそ笑む二人。しかしそこへ、鬼太郎を入れたはずのトランクや、鬼太郎の服が、次々と配達されてきます。送り主を見ると、鬼太郎の名が……。二人は今度こそ鬼太郎にとどめを刺そうと、書かれている住所に電車で向かおうとするのですが――。
 ここから先は、「ゆうれい電車」とほぼ同じ展開。ただしラストで悪漢二人が辿る結末は、少し異なります。詳しくは、原作を読んでね!

 で、この「ゆうれい電車」。アニメ版でも毎期必ず映像化されている定番エピソードです。
 アニメの鬼太郎は原作以上にヒーロー的ですから、そんな鬼太郎が人間を恐怖に陥れるこのエピソードは、全体から見れば極めて異色作。だからこそ、毎回力が入っています。

 第一期は、前半のストーリーが原作と大きく異なります。
 ねずみ男が妖怪仲間を募ってお化け屋敷をオープンしますが、そこでガラの悪い二人組の客が、妖怪達に(本物とは知らずに)乱暴狼藉の限りを尽くします。鬼太郎は仕返しのため、二人をゆうれい電車に乗せることに……。
(この改変理由は、おそらく鬼太郎が夜の盛り場で遊び歩いているのが問題だったからでしょう(笑)。お化け屋敷のくだりについては、第四期で「妖怪屋敷へいらっしゃい」という独立したエピソードにもなっています。)
 後半、ゆうれい電車に乗った二人に、妖怪達が次々と恐怖をもたらすのが見所。子泣きじじいが駅のホームで棺桶にすがりついて泣きながら、その棺桶をこじ開けようとするシーンなどは、大人になった今見てもぞわぞわします。

 一方第三期では、打って変わってコミカルな演出が目立つエピソードになりました。「ゆうれい電車」と言えば、原作・アニメともに屈指の恐怖エピソードというイメージがありますが、その中でも第三期バージョンは、ある意味でさらに異色作だったと言えるでしょう。
 お化けを見ていちいち絶叫する二人組。骸骨だらけの車内でかかるユーモラスなEDアレンジ。無視されちゃったひょうすべ……などなど、クスリと笑えるシーンがいっぱいあり、ホラーというよりはコメディ編とも言える内容でした。
 ラストで心霊ホラー的なオチがつき、恐怖に震える人間達。しかしそれを遠巻きに見ながら、鬼太郎とねずみ男がいつもの呑気なやり取りをしているところで話が終わり、視聴者もホッと息をつく――。
 そんな第三期ならではの娯楽性も兼ね備えた、良質な一本となりました。

 第四期は一転して、原点回帰のコンセプトに恥じぬ、原作どおりの直球な「ゆうれい電車」。
 原作顔の男の顔に浮かぶ、原作どおりの汗の表現が素晴らしい。そして、車内に集った死人達の演出も、時代相応に進化しています。
 大きな改変こそないものの、だからこそ「そのままの味」が堪能できる一本でした。
 ちなみに、第四期ではもう一本、イベント上映用に「ゆうれい電車」を原作とした3Dアニメが作られています。こちらはストーリーを大きく異ならせており、ある少年が「時間を遡る」力を持つ幽霊電車に乗って、その中で過去に自分がおこなってきた悪事を見せつけられ、次々と現れる妖怪達に脅かされていく――という内容。少年視点ということもあってホラー要素自体はマイルドですが、見応えのあるハイクオリティな一作でした。

 第五期は、まさに意表を突かれた「ゆうれい電車」でした。
 思わず「え、まさかあんた……!?」の声が出る。原作を知っているからこそ欺かれ、最後に真相が分かって驚愕。
 単に「お化けを否定して怖い目に遭う」だけでは済まないその内容は、まさに正統派ホラーと言えました。冒頭のテレビ番組が伏線になっていたことにラストで気づかされるシナリオも、とても見事だったと思います。
 惜しむらくは……第六期でネタ被りになってしまったこと、でしょうか。(^^;)
 ちなみにろくろ首のシーンは、第一期のオマージュになっています。

 そして、忘れちゃならないアニメ版「墓場鬼太郎」。ここでも「人狼と幽霊列車」というタイトルで、しっかりアニメ化されています。
 内容は原作どおりですが、1エピソードの後半に凝縮してテンポよく見せるのは、このアニメ版「墓場鬼太郎」ならでは。それでも原作の醍醐味をしっかり味わえる、東映のプロ魂が感じられる作品でした。


 前振りが長くなりましたが、ここから今週の感想です。
 今回犠牲になっていただいたのは、ある中小企業のワンマン社長。ブラックな「指導」で次々と社員をリタイア(人生そのものからな……)させてきた、今時のリアルな悪人として描かれています。
 第五期もそうでしたが、ゲストとして登場する人間の性格づけが、「身の破滅を受けるに相応しい」ものに設定されているのは、結構重要なポイントだと思います。
 ホラーシナリオにおいて、「主人公の死をもってクライマックスを迎える」という形は、定番であると同時に究極的。逆に言えば、真剣にホラーを作ろうとすると、この王道展開を避けて通るのはもったいないわけです。
 なので、「この人間に救いは一切ありません」というキャラクターが必要だったのだと思います。それだけ今回(と第五期)の「ゆうれい電車」が、ホラーとしての完成度の高さを目指していたということでしょう。

 で、この社長に付き従っていた部下が、実は……という展開は、前述の「ネタ被り」の部分。おかげで、その時点では「五期と同じ?」と不安になったものの、最終的にはその不安を吹き飛ばして余りある満足感を得られたのが、綿密に計算された隙のないシナリオの賜物でした。
 鬼太郎が盛り場へ現れ社長に絡んだのはなぜか。目玉おやじの意味ありげな台詞の真意は何か。社長はなぜ終電を逃したのか。そもそも冒頭の事故は何だったのか……。
 そのすべてに意味があり、真相へと繋がっていく巧妙さ。しかも実は今回、幽霊電車そのものは、鬼太郎の「仕返し」と関係ないものだった――という展開は、過去作を知る視聴者をいい意味で裏切ります。
 一方で、最後に「ゆうれい電車に乗った男が、鬼太郎が人間ではなかったことを知る」という原作のポイントをしっかり回収したのも、嬉しいところ。絶望に涙を流す社長に冷徹に背を向け、去っていく鬼太郎。そして今回の骨壺のアナウンスは、猫娘の役目になりました。
 ……しかしこれだけでは終わりません。
 悪夢のような一夜が終わり、視聴者がホッと息をついたところで明かされる、冒頭の事故の意味。
 事故を目撃して鬼太郎に手紙を出していた女子高生が、おそらく次の犠牲者になるであろうことを示唆させる(彼女の背中にまとい付くどす黒いオーラ(※)。そして「あれ以来駅を利用していない」という点から、次に彼女が駅に行った時どうなるかは、想像に難くなし……。しかも鬼太郎は助ける気ゼロ!)クライマックスは、鬼太郎のえげつないレベルのホラー顔も相まって、まるで突き刺ささるかのような絶望感と恐怖、そして因果応報のパズルがかっちりと噛み合った最高の爽快感をもたらしてくれたと思います。
 はっきり言って、手放しで称賛できるほどの回でした。ブラボーですよ、ブラボー!

※追記。このオーラは六期特有の「人間の悪意」を表現したものなので、「この女子高生がすでに死者に狙われている」というわけではないのかも……。早計でした。


 もちろんシナリオ以外でも、見所はあちこちにありました。
 色調を替えることで自殺者の死体をそのまま絵で見せる印象的な演出。赤電話やアナログ時刻表示など、昭和に逆戻りしたかのようなホームの風景。また、三途の川の渡し守が「墓場鬼太郎」に登場したものだったり、車掌室にいた妖怪達が過去のアニメ版「ゆうれい電車」で活躍したキャラクター(全員がそうだったかは未確認ですが。録画を見返さずにこれを書いているので……)だったり――といった小ネタも、ファン的には嬉しいサプライズでした。

 さらに今回はゲスト妖怪として、脱衣婆(これは公式サイトでの表記です。正しくは「奪衣婆」なんですが……。まあ、「脱」という字が使われることも実際にあるようなので)が登場。
 作中では名前は登場しませんでしたが、地獄へ向かう途中で出てくる婆なんて一人しかいないですしね。まあ、やっぱりあなたですよねーって感じで。
 原作の奪衣婆は、「週刊実話」で連載されていた通称「新ゲゲゲの鬼太郎」に登場。若い男とイチャイチャしたくて美女に化けていたという色ボケ妖怪でしたが、これは全体的にアダルティな傾向のあった週刊実話版鬼太郎ならではの特徴づけ。第三期ではまさかのアニメ化もされ、なかなかの傑作に仕上がっていました。
 しかし今回登場した「脱衣婆」(やっぱり名前変だよ。服を奪う婆だからね? 服を脱ぐ婆じゃないからね?)は、純粋に「三途の川のほとりにいる妖怪」として、あくまで原作とは関係なく起用されたようです。デザインも原作のそれとは違います。
 もしかしたら、「妖怪大統領」というエピソードに登場した妖怪、葬頭河婆のデザインをベースにしているのかもしれませんね。葬頭河婆も奪衣婆も、妖怪としては同じものですしね。

 そんなわけで、今回はここまで。
 原作や歴代アニメ版への思い入れと、今回の満足度が重なって、いつも以上に長々とした文になってしまいました。
 次回は鏡爺ですね。女の子に目がないスケベな妖怪として、原作でも第三期でもお馴染みです。
 ……つまり、まなちゃんの出番ですね、ええ。

 ではまた次回!

テーマ : ゲゲゲの鬼太郎
ジャンル : アニメ・コミック

tag : ゲゲゲの鬼太郎 妖怪 水木しげる アニメ

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