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ゲゲゲの鬼太郎第6期・第57話『鮮血の貴公子 ラ・セーヌ』 感想

 ついに登場、吸血鬼ラ・セーヌ!
 以前、西洋妖怪予習編の記事を書いた時にも触れたキャラクターですが、結局第3クールでは参戦せず……。しかし今回、ついに西洋妖怪の一員として、その姿を見せてくれました。
 ちなみに前回も少し書きましたが、ラ・セーヌがアニメに登場するのは、何と第一期ぶり!
 いやはや、長い「鬼太郎」史から見ても、吸血鬼ラ・セーヌは重要な作品に登場するキャラクターなのですが、なかなか映像化に恵まれない損な役回りを負っていたようです。理由は……はい、この後詳しく書きます。
 ともあれ、まずは登場に乾杯。話も面白かったですしね!

 さて、今回の原作は「手」。とてもシンプルなタイトルです。
 この「手」、上で重要な作品と書きましたがそのとおりで、実は鬼太郎が少年誌に初めて登場した際のエピソードが、これだったのです。言わば第一話です。
 その第一話に登場したラ・セーヌ(原作表記は「ラ=セーヌ」)は、鬼太郎が少年誌上で初めて戦った敵。「ウルトラマン」に喩えるならベムラー。いや、いちいちウルトラマンに喩える必要はないんですが……。とにかくラ・セーヌは、それぐらい由緒正しいキャラクターだったというわけですね。
 ちなみにストーリーはというと――。

 フランスからやってきた吸血鬼ラ=セーヌと、その召使いの殺し屋、ザ=マンモス。二人は邪魔な鬼太郎を亡き者にしようと襲撃するが、鬼太郎は手首一つを残して消えてしまう。ラ=セーヌは、鬼太郎の抹殺に成功したと思い込むが……。
 しかし残された鬼太郎の手首が、まるで生きているかのように這い回り、ラ=セーヌとマンモスを翻弄。恐怖に駆られた二人は誰も来ない山荘に逃げるも、手首は執拗に二人を追い詰めていく――。

 とまあ、こんな感じです。
 吸血鬼という怪奇キャラクターが鬼太郎の超然的な力に翻弄されるという、貸本版「墓場鬼太郎」の作風を色濃く残すストーリー。この話のベースになっているのは、おそらく「墓場鬼太郎」のエピソードの一つ、「怪奇一番勝負」でしょう。
 鬼太郎が見せる能力も、後続の髪の毛針やリモコン下駄に比べて、だいぶ怪奇色が強いものです。この動き回る手首は「リモコン手」という名前を得て、原作版鬼太郎の主要能力の一つにカウントされています。

 ……それはともかく、この「手」という話に登場するラ=セーヌは、鬼太郎の能力に翻弄されるばかりで、吸血鬼(というか妖怪)らしい能力を見せることはほぼ皆無。記念すべきキャラクターながら、強敵という印象はありませんでした。
 しかしこのラ・セーヌが、後に強敵として、別のエピソードに再登場します。
 そのタイトルもずばり、「吸血鬼ラ・セーヌ」。こちらは80年代マガジン版、通称「新編ゲゲゲの鬼太郎」の1エピソードです。ここに登場するラ・セーヌは、「手」に登場したラ=セーヌと同一の存在というわけではなく、あくまで同名・同外見のパラレル的キャラクターのようですが、かつてと違って吸血鬼としての能力を遺憾なく発揮し、鬼太郎ファミリーと死闘を繰り広げました。
 80年代作品ということで、鬼太郎もヒーロー色が極めて高くなっていた時期であり、「手」のような怪奇に満ちた内容とはだいぶ趣の違う作風に仕上がっていました。

 そんなわけで――「手」と、「吸血鬼ラ・セーヌ」。方向性の異なる二作品に登場するラ・セーヌが、今回のアニメ版で、どちらに準拠して登場するのか。
 次回予告の段階では断言できない状態でしたが、もしかしたらアニメ向きの後者が採用されるのかな……なんて思っていたら、まさかの「手」!
 もうね、本編でマンモスが原作どおりの姿を現した時点で、「手だー!」ってなりましたよ。いや、どんな反応だよそれって言われても困るんですけどね?
(ちなみにアイキャッチでは、「吸血鬼ラ・セーヌ」の方の絵が使われていました。)
 しかしこの「手」という原作。これまで映像化の機会に乏しく、吸血鬼ラ・セーヌのアニメ登場を阻む大きな原因になっていたのは、間違いありません。そもそも映像化されない理由は……ええ、上に書いたあらすじでお分かりかと思います。

 だって、切断された手首が這い回るわけですからね。子供向け番組では難しいっていう……。

 ちなみに過去作を振り返ってみると、「手」が初めてアニメ化されたのは、第一期。ただしタイトルは「吸血鬼ラ・セーヌ」と改められ、手首ではなくリモコン下駄が吸血鬼を翻弄する形に改変されました。
 次にアニメ化されたのは、今回……って、あらら、一気に飛んじゃいましたね。
 ええ、それほどまでに「手」は、長らく映像化されてこなかった――というわけです。だからラ・セーヌの登場も、本当に久々なんです。
 そんな第六期バージョンで手首の代わりに活躍するのは、下駄ならぬチャンチャンコ。どれも鬼太郎にコントロールされる定番アイテムということで、リモコンのバリエーションに事欠かないのは鬼太郎の強みですね。

 ……なお、こちらもきちんと触れておくべきでしょう。
 実は「手」そのものではありませんが、「手」に関連するアニメエピソードは、他にいくつか存在しています。
 まずはアニメ版「墓場鬼太郎」の「怪奇一番勝負」。大人向けの深夜アニメとして作られた――という強みからか、原作どおり、もろに手首が這い回ります。もちろん釘打ちもされます。いや、これは自主規制されなくて正解でした。
 そしてもう一つは、第四期の「ぬらりひょんと蛇骨婆」。こちらは原作「妖怪ぬらりひょん」をベースとしたエピソード……と見せかけて、実は「手」との合わせ技。鬼太郎を亡き者にしたはずのぬらりひょんが、その下駄に翻弄される様が描かれます。
 原作「妖怪ぬらりひょん」にはリモコン手の活躍シーンがあるので、それに基づいた融合だったのかもしれません。まあ、アニメでは手首ではなく下駄なんですが……。いずれにしても、この「ぬらりひょんと蛇骨婆」は、僕が第四期で一番好きなエピソードを挙げるとしたらコレ! というぐらい傑作なので、未見のかたには是非お勧めしたいですね。
 ……ただし、いずれも「手」そのものをアニメ化したわけではないため、当然ラ・セーヌの出番は一切ありませんでした。つくづく恵まれない原作キャラクターだったと思います。

 余談ついでにもう一つ。
 アニメ版「鬼太郎」でリモコン手が直接描かれたエピソードは、上記の「怪奇一番勝負」以外に、第二期「ダイダラボッチ」があります。
 第二期は人体消失や白骨化みたいなトラウマシーンが結構ありましたが、その辺の表現規制が第一期より緩かったのは、時代的な許容があったのでしょうか。当時生まれていなかった僕には分かりません。
 何にしても、アニメでリモコン手が活躍した数少ないエピソードの一つとして、記憶しておきたいところです。


 はい、ここまで薀蓄と余談。←マジで長ぇよ
 ここから今週の感想です。

 手首をチャンチャンコに改めた、第六期版「手」。
 地獄の四将編、そして西洋妖怪編とも絡んだ、第六期ならではのエピソードながら、釘打ち、そして海へドボン(これは「鬼太郎夜話」のオマージュかな)と、原作初期のカラーを出してくれたのは嬉しいところです。

 そして再三言っているとおり、吸血鬼ラ・セーヌが久々にアニメに登場!
 って、めっちゃショタ化しとる!(笑)
 いや、タイトルに「貴公子」ってあるから美青年ぐらいには改変されるかなーと思っていたけど、縮んだのはだいぶ予想外でした。
 性格は他の西洋妖怪と同じくドSでしたが、一方でチャンチャンコが顔に絡まって抜けなくなったり、チャンチャンコの金庫脱出方法をめっちゃ早口で解説したりと、コメディ部分も程よく担当し、純粋に「嫌なやつ」で終わらせなかったのは良かったですね。
 最終的にラ・セーヌは、「マンモスに庇われ、石動に殺される」という形で同情を買うことにもなるため、コメディという形で緩和要素を入れたのは正解だったと思います。

 一方でマンモスは、まず外見は原作そのまま。いや、若干若くなったか。でも巨漢。しかし見た目はともかく、中身はだいぶ変わりました。
 まず身体能力が常人を超えた……というのは置いておくとして。とにかくラ・セーヌへの忠誠心の厚さや、時として主人の意に背いてでもその命を守ろうとするところなど、キャラクターとしての厚みがかなり増したと思います。
 で、このマンモスが巨漢だからこそ、彼が少年姿のラ・セーヌを守る絵が、ちょうどいい対比として映るんですね。
 原作や第一期の二人が「コンビ」だったのに対して、第六期の二人はまさに「主従」。最初はショタ化したラ・セーヌに驚きましたが(笑)、そのラ・セーヌをマンモスが庇って火の中から脱出したり、命を守るために叱咤したり……といった光景を見ていると、この巨漢とショタの組み合わせがとてもしっくり来るように思いました。
 ……で、そんな二人を容赦なく引き裂く石動。相変わらず空気読まない子でした。南無。

 なお、前回のエリートからの「吸血鬼ネタ二週連続」については、作中でフォローが入りました。どうやら、立て続けに吸血鬼が現れたのがポイントのようです。
 ……いや、そうは言っても、エリートの方は完全に独立したエピソードにしか見えなかったので、エリートが一連の吸血事件に絡んでいたっていうのは、明らかに脚本上の後付けでしょうね。アニエスさん(こちらも久々!)も、「関係があるのかもしれない」程度に言葉を留めていましたし。
 そもそもエリートのエピソードは結構完成度が高かったので、変に後付け設定を盛るのは無粋に思えます。これは、今週の二つある不満点の一つです。
 ……ちなみにもう一つの不満点は、ラ・セーヌと鬼太郎の直接対決が、完全にスピード勝負に終始していたことですね。いや、これって個人的には、見てても「ふーん、二人とも速いんだね」ぐらいしか感想が出てこないんで、あまり乗れないんですよ。
 まあ、ラ・セーヌは速さが武器でもいいんですけど、鬼太郎がそれに打ち勝つ手段が、「お前の動きは見切った。僕はもっと速く動く」じゃ、まったく芸がないなぁ、と。脚本さん、ここもうちょっと頑張ってほしかったです。

 とまあ、後付け設定に不満はあるものの、「世界中で吸血妖怪が暗躍してる」って展開は、結構ワクワクするものがありますね。
 彼らの目的は、集めた血液を使ってバックベアードを復活させること。そしてアニエスの口から出た、ペナンガランやアササボンサンの名前――。
 もうこれは、アレですね! 妖怪樹をベアードに置き換えた上での、「血戦小笠原」が確定ですね!
 そしてドラキュラポジションには、相変わらずカミーラさんが来ると思われます。タイミング的には、たぶん今クールの終わりぐらいになるのかな? 地獄の四将編は複数クール跨ぎそうな感じだし。
 まあ勝手な憶測ですけど。いやもう、バッチリ期待しておりますよ。

 ということで、第六期版「手」。
 楽しく視聴させていただきました。


 さて次回は……「かまぼこ」!
 いいですね。ノベライズした時の記憶が蘇ります(笑)。
 原作からしてだいぶ変則的な内容でしたが、第六期版がどのような形になるのか、今から楽しみにしたいと思います。
 ではまた!

テーマ : ゲゲゲの鬼太郎
ジャンル : アニメ・コミック

tag : ゲゲゲの鬼太郎 水木しげる 妖怪 アニメ

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