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ゲゲゲの鬼太郎第6期・第68話『極刑!地獄流し』 感想

 まさかの感動系だった! 意外!

 今回の原作は「地獄流し」。昭和マガジン版初期のエピソードですね。
 もともとのストーリーは、逃亡の末に鬼太郎の家に忍び込んだ悪党二人が、生きたまま地獄に流されてしまうというもの。まだ怪奇色が強かった頃ゆえの内容です。
 ちなみに、二人の男が地獄に流される方法は、それぞれ別。一人目は地獄への切符を手に入れてバスに乗ったところ、それが片道切符だったために帰れなくなる。二人目は鬼太郎を連れてドライブに出た結果、地獄に迷い込んでしまう――というものでした。
 これらの要素は、どちらも貸本版「墓場鬼太郎」で、すでに見受けられます。つまり、貸本版で複数あった地獄送りのネタを一つにまとめて、短編として再構成したのが、この「地獄流し」ということになりそうです。

 なお余談ですが、「鬼太郎を車に乗せて地獄に迷い込む」というネタは、後に意外な原作エピソードで再登場しています。
 週刊実話で連載された「野球狂の巻」がそれです。この話は基本的にドタバタ劇なのですが、最後の最後でまさかの地獄流しが炸裂するというオチ。しかも鬼太郎、この時酔っ払ってたし。
 個人的にも結構お気に入りのエピソードだったりします。たぶんアニメ化はされないでしょうが(笑)。

 ……さて、話をアニメ版の方に戻しましょう。
 冒頭でも触れたように、今回の第六期版「地獄流し」は、だいぶ意外な内容になりました。
 原作は、「悪人が鬼太郎の力で酷い目に遭う」という、言わば因果応報のエピソード。そのため従来のアニメ版も、概ねこの流れを汲んでいました。
 例外は第三期の「妖怪百目・地獄流し」で、こちらは地獄流しをおこなう妖怪百目を鬼太郎が倒すという、純粋なバトルストーリー。もっとも第三期には「謎の妖怪狩りツアー」という、「地獄流し」の要素を含んだエピソードも別にありましたが……。
 (余談ですが、この「謎の妖怪狩りツアー」、僕の手持ちの資料だけでは原作が特定できないんですよね。タイトルから察するに、ボンボン版の単行本未収録エピソードが使われたのでしょうか。その場合「地獄流し」の要素も原作から存在していた、ということに?)
 もっともこの例外を除けば、基本的に因果応報なんですね。第四期のように、二人の悪党を「救われる者」と「救われない者」に分けたケースもありましたが。(この第四期版「地獄流し」は秀逸でした。お勧め!)
 なので「ゆうれい電車」と同じく、きっと今回はホラーになるんだろうなぁ、と思っていたのですが――。

 いやぁ、完全に意表を突かれました。
 もちろん「ホラーじゃなかった」なんてことはなく、カケル青年が餓鬼に変貌して自分の体を貪り食らい、吐いては食い、吐いては食い――なんていう、朝アニメなのにかなり振り切ったホラー描写はあったわけですが(笑)。
 それでも、終盤の展開ですね。カケルが懸命にもう一人の男を助け、一枚しかない現世への切符を彼に譲ろうとしたところで、すべての真相が明かされる――。
 いや、ベタでしたよ。ベタでしたけどね。
 これがもう、心地いいほどに、じんわりと来ました。

 確かに最初から奇妙ではあったんですよね。
 カケルは強盗を働いたけど、死傷者を出したわけではなく、鬼太郎に喧嘩を売ったわけでもない。それが突然地獄流しに遭うというのは、旧作のセオリーから考えても違和感があったわけで。
 つまり鬼太郎は、最初から何らかの意図をもって地獄流しを仕掛けたのだ――という推測が成り立ちます。
 それが「改心を促すため」というのも、まあ、予想しようと思えばできます。一緒にいる男が何か特別な人間なのでは……というのも、同じく予想が可能です。
 ただ、そんな一連の深読みを遮ってしまうのが――上述の餓鬼化の描写ですね(笑)。

 カケルが辿り着いた餓鬼の村(原作「鬼太郎地獄編」シリーズに登場したもの)。そこで餓鬼から肉を奪い食らったカケルは、生きながら餓鬼と化します。
 餓鬼は常に飢え、満たされることがありません。食べては吐き、食べては吐きを繰り返す……。その様は、まさに食吐(じきと/餓鬼の一種)。しかも吐き出すのは、自分が人間だった時の頭。その頭が、今度は巨大な土蜘蛛と化し、カケルを襲う――。
 この現実とも悪夢ともつかない光景を前にして、あれやこれやと展開を推測するのも野暮ってものでしょう。というより、この後何がどうなるのか、予想できるはずもなく(笑)。
 あとはもう成るがままの展開に任せていました。
 ……ちなみに餓鬼化は顔を洗ったら治ったようです。何でやねん(笑)。

 そう言えば、ずいぶんと唐突に土蜘蛛が出てきましたが、これは芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を意識しての起用だったようですね。
 カケルが糸を登り始めたところで、まさかカンダタコースか……とドキドキしながら見守っていましたが、カケルはちゃんと強い心を持っていました。
 ちなみに土蜘蛛がアニメ版に登場するのは、第三期劇場版と第四期に続いて、今回が三度目となります。

 ともあれカケルは、そんな土蜘蛛に負けることもなく、同行者の男と二人で地獄の出口(?)へ向かうのですが――。
 ここから先に待ち受けていた結末についての感想は、すでに書いたとおりです。
 もっとも、途中にあった餓鬼化や土蜘蛛の襲撃などを踏まえるに、おそらくカケルの改心は、100パーセント保証されたものではなかったのではないでしょうか。
 カケルが登っていた「蜘蛛の糸」が何とも象徴的ですが、もしカケルが何らかの形で男を見捨てれば、鬼太郎はカケルを容赦なく地獄に置き去りにしたに違いない――。そんな気がします。

 ……もっとも、鬼太郎が個人の生死を自由に操作できるとなると、そもそも「地獄の四将編」の設定に矛盾が生じてしまいます。
 もしかしたら今回の「地獄」は、すべて鬼太郎がカケルに見せていた幻だった――。そんな考察も成り立つかもしれませんね。

 ともあれ、第六期版「地獄流し」。
 予想していたものとはだいぶ違う印象になりましたが、とても面白く堪能いたしました。


 さて次回は……鬼童!
 まさかの、このタイミングで来ましたか。
 つまり真打は玉藻前で、それが鬼道衆の郷を焼い(ry
 何にせよ、楽しみにしています。ではまた!

テーマ : ゲゲゲの鬼太郎
ジャンル : アニメ・コミック

tag : ゲゲゲの鬼太郎 水木しげる 妖怪 アニメ

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