怪物映画レビュー 『宇宙戦争ZERO』

原題:HIGH PLAINS INVADERS
2009年・アメリカ

 時は西部開拓時代。とある小さな町の下には、当時まだ価値を持たないウランが大量に眠っていた。それに目をつけたのは、一人の学者。だが一獲千金を夢見て掘り出そうにも、肝心の鉱員が見つからない。なぜなら、「ウランを掘った者は、体を悪くして死ぬ」との噂が立っていたため、誰も鉱山で働きたがらないのだ。
 そんなある日のこと、町の中央に奇怪な生き物が現れた。巨大な虫のような姿をした「それ」は、発砲してきた人間を血祭りに上げると、おもむろに地面を掘り始める。しかも一匹だけではない。次から次へと同じものがやって来ては、表通りに大穴を作っていく。
 どうにか生き延びた人々は、建物に立て籠もり、策を練り始めた。この騒ぎで死刑を免れた列車強奪犯に、その元恋人。例の学者に、思考回路がアレな女賞金稼ぎ。他数名。彼らは町からの脱出を試み、あるいは虫達を倒そうと奮闘するが、やがて恐るべき光景を目の当たりにする。
 突如空に出現した謎の巨大な球体が、地上に向けて無数の虫をばら撒き始めたのだ。どうやらやつらは、町のウランを求めて宇宙から飛来した、地球外の存在らしい。果たして人々は、この未知の敵に打ち勝つことができるのか。


 西部劇の世界を舞台に、人類と地球外生命体との初めての決戦を描いた一本。なるほど、だからZEROなのか……と納得したところで、舞台が小さな町一つとあっては、さほど壮大さもなく。むしろ現代科学の存在しない世界で、いかにSFストーリーを展開させるのかが、大きな見所になっている気がします。
 しかしこの作品で何より特筆すべきは、登場する宇宙生物のユニークさ。のっぺらぼうな塊に、昆虫状の脚四本と長い尻尾を生やしたその異形は、確かに「虫」を思わせながらも、一方で「地球外から来た」という設定を納得させるだけの力を持っています。さらに細かいギミックとして、のっぺらぼうな顔面が花のようにカパッと開いたり、触覚だか牙だか分からない部分がモゾモゾ蠢いたり。それから注意して見ていると気づきますが、背中にも魚のエラのようなものが並んでいて、常にパクパクしてます。いや、芸が細かい。
 何より面白いのは、これが穴を掘る時の動作。脚を削岩機のように振動させて、直立の姿勢で潜っていくのです。実にインパクト大。また地球にやってきた目的も、漠然とした侵略ではないところに、作り手のこだわりを感じました。ウランですよ、ウラン。まあ、エネルギー資源としてではなく、食料としてなのですが。己はガボラか。顔開くし。
 しかも学者曰く、ウランはこの宇宙生物にとって、麻薬のようなものなのだそうで。要するに、クスリをやりに集団で地球まで来たわけです。そう考えると、一気にアレな子になってしまいますね。邪魔するやつらは皆殺しだしね。
 とにかく無名の日本未公開映画で、これほどユニークなモンスターが見られるとは思っていませんでした。まさに掘り出し物。ただ難を挙げれば、群れで登場する場面がほとんどなく、登場シーンのほぼ九割が一匹で頑張っているだけってのは、惜しい限り。どうやら、低予算の群れ系怪物映画が抱えた、永遠の宿命のようです。

テーマ : B級映画
ジャンル : 映画

tag : 映画 モンスター

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